事実、60歳以上の高年齢者層では、写真への支出額が減少しているが、子育て世代に当たる40代以下では、写真支出の減少幅はむしろ小幅にとどまっている。
節目を迎えた我が子の姿を残したいという親の気持ちは、「七五三」「成人式」ばかりではなく「結婚式」もしかりだ。写真スタジオ関係者が言う。
「結婚式を挙げない〝ナシ婚〟も増えているが、そんなカップルの間でも『記念写真はプロの撮影で残したい』という要望が多い。おかげで多少の値段が張っても、オリジナリティー溢れる撮影が受け入れやすく、スタジオの収益アップにつながっています」
まさに、このハレの日需要により一部の写真スタジオは、厳しい環境の中でなんとか経営を維持してきた。
しかし、そこに降って湧いたようなコロナ禍である。
ハレの日やイベントなどの多くが、中止や自粛に追い込まれたほか、インバウンド(訪日外国人観光客)も消失したことで、写真需要が急激に縮小。ハレの日に注力してきた写真スタジオにとっては、身動きがとれない状況になっている。
写真撮影ビジネス市場は対前年比20%ダウン!?
ピクスタが運営する出張撮影プラットホーム「fotowa(フォトワ)」が、今年8月に実施した子育て世代へのアンケート調査では、七五三撮影の希望者は対前年比60%にとどまった。
「なんとか夏の第2波をやりすごしたことで、七五三の頃にはコロナも収束しているかと期待したが、とんでもありません。第3波の到来でキャンセルも多くなっている。当然、結婚式関連にも影響が出ていて、今年は〝ナシ婚&撮影中止〟が増えています」(同)
写真撮影関連業者が加盟する日本フォトイメージング協会は、20年の写真撮影ビジネス市場について、コロナの深刻度が増せば対前年比20%ダウン、1400億円市場に急落という厳しい見方をしている。
一方、このピンチを乗り越えようとする動きも活発化。前出の経営コンサルタントが解説する。
「コロナ禍でのスタジオ撮影が不安な人に向けて、記念日にプロカメラマンが出張撮影するサービスが増えています。また、新手のハレの日を拡大させ、例えば、一生ものとして『マタニティーフォト』や10歳を迎えたときの『ハーフ成人式』などに、チャンスを見いだそうとしているスタジオもある」
果たして写真撮影業界は、コロナ禍で再び訪れた危機を生き残れるのか。
【画像】
Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)
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