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日本全国☆釣り行脚~『カサゴ&クロダイ』~大阪府大阪市/中央突堤産

日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

水温の下がりきる2月に入り、毎年のこととはいえ、いよいよ陸っぱりからの釣りが厳しい時期になりました。バチ抜けのシーバスなど、一部ではこの時期からの釣りもありますが、全般的に見れば水温が低く魚も低活性。釣果もお寒くなりがちな季節です。

こんな時は、意外と都市部の釣り場が面白かったりするものです。

以前にも、千葉県幕張の温排水周りで釣りをしましたが、都市部の港湾や運河筋はさまざまな排水が流れ込んでいることから、外海より水温が幾分高いポイントが多くあります。また、浚渫工事などにより底に変化の乏しい港湾部では、護岸の周辺に魚が着くため、効率よく魚と出会うことができるメリットもあったりします。ということで、今回は大阪市の中心部からもほど近い、大阪港は中央突堤の臨港緑地で竿を出してみたいと思います。あ、決して遠征が面倒なので身近なところで済ませたいとかではないですよぉ。

日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

帰宅のサラリーマンに交じって大阪メトロ中央線に揺られ、夜の大阪港駅で下車。歩くこと数分で、赤レンガ倉庫の裏手に位置する釣り場に到着すると、数名の釣り人がいるだけで空いております。この界隈の釣り場といえば隣駅のコスモスクエアが人気ゆえ、臨港緑地は比較的、場荒れの少ない穴場といえます。

「ヘチも探ってみるか」

早速、投竿に仕掛けを結び、ハリにエサを付けて軽く20メートルほど沖に投げ入れます。狙いはこちらでガシラと呼ばれるカサゴです。オモリの着底と砂泥底の感覚を確認後、仕掛けを手前に引いてくると…トムッ、トムッ、ゴツッ! 砂泥から岩礁(捨石)の感覚に変わりました。ここで仕掛けを止め、あとは置竿でアタリを待ちます。穴場とはいえ、ある程度釣り人に攻められている都市部の根魚は、少し沖の捨石際に良型が残っていることが多いんですな。

カサゴ(C)週刊実話Web

しばらくライトアップされた迫力ある港大橋の夜景などを楽しんでいると、1本の竿先がいきなり激しく引き込まれました。急いで駆け寄り竿を煽ると、なかなかの重量感です。捨石に潜り込まれないよう強引にゴリ巻きで抜き上げると、掛かっていたのは25センチほどと良型のカサゴ。早々に狙いどおりの本命が釣れるのは気持ちのよいもので、「もう1尾」と仕掛けを投じて待ちますが、その後は一向に音沙汰がありません。

こうなると、今度は岸壁際が気になってくるもので「ヘチも探ってみるか」と、安物の短い竿に胴突仕掛けを結んで、護岸の際をゆっくりと歩きながら探ってみることにしました。仕掛けを投げ込んで〝待つ釣り〟もアタリが来るまでワクワクするものですが、探って〝攻める釣り〟もまた違ったドキドキがあるものです。

重量感あるアタリが続き…

クロダイ(C)週刊実話Web

園内の端から端までを丹念に探りきって、そのまま天保山運河に続く水路を探ります。「こういう水路のヘチも侮れないんだよな…」と、ゆっくり歩くうちにコンッ! と明確なアタリが伝わりました。「やはりいたか」と竿先を下げて待つと、クンッ、ククンッとアタリが続き、スーッと引き込まれたところで竿を煽ります。グンッ! ハリ掛かりを伝える心地よい重量感を感じつつリールを巻き上げます。が、思いのほか引きが強く、ずいぶんとアクティブな手応えはカサゴではないような…。仕掛けが細いことから慌てて糸を出して対応、慎重に寄せにかかります。

クロダイ(C)週刊実話Web

糸を出してはリールを巻いて、やがて水面下に見えたのはクロダイです。さすがに抜き上げは無理そうなので、玉網を出して無事確保。大きさは35センチほどとそこまで大きくはないものの、この時期に運河筋で釣れる真っ黒な居着きの個体とは違い、銀白色で頭が小さい魚体は旨そうです。すぐに血抜きを施しクーラーボックスにイン。ぶっ込みでカサゴ、ヘチ探りでクロダイと、満足な釣果を得ることができたことで納竿といたします。

クロダイ刺身、カサゴ煮付け (C)週刊実話Web

帰宅後はクロダイを刺身に、カサゴは煮付けにして晩酌です。クロダイは臭みはなく、見た目どおり適度な脂乗りが感じられてマダイと遜色ないほどに美味。カサゴの煮付けも身離れがよく、不細工な見た目とは対照的に上品な味わいです。そして麦焼酎〝通天閣〟の焦げの風味と煮付けの相性がまたよく、刺身と煮付けをつまむうちにホロ酔いに。厳寒の時期ながらも、都市部のお手軽釣り場でサクッと楽しい夜釣りとなったのでありました。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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