社会

元巨人の投手が窃盗犯に転落した背景に見え隠れする「犯罪組織」の影

秋田中央署が2月7日、昨年12月に千葉市内の量販店でウイスキーを盗んだとして、窃盗の疑いで元巨人のプロ野球投手・小野仁容疑者を再逮捕した。

現在45歳の小野容疑者は、先月15日にも逮捕されていた。そちらの容疑も、秋田市内の量販店でシャンパン2本(同1万7500円)を盗んだ疑いだった。

「今月4日に秋田地検が起訴した際には、昨年11月25日に秋田市内のスーパーでシャンパン11本、販売価格合計8万1620円を盗んだとされていた。しかも、小野容疑者の自宅からは、ウイスキーやシャンパン、日本酒など高額な酒ばかり約400本も見つかっており、これらも盗品の疑いがあるとみて関連を調べている。どうやら、同じ手口で犯行を繰り返していたようですね」(事件ライター)

精神の病“窃盗症”の疑いも

小野容疑者は、秋田市生まれの快速左腕として知られ、明桜高(当時・秋田経法大付高)2年の時に、春夏連続で甲子園に出場。1994年の世界選手権では、史上初めて高校生で代表入りして大活躍した逸材だった。

卒業後は社会人の日本石油(現・ENEOS)へと進み、96年アトランタ五輪にも出場して銀メダルを獲得。同年のドラフト会議で、巨人から2位指名を受けた。

都内でバーを営む高校野球ファンのオーナーも首をかしげている。

「高校の時の甲子園での投球を見ていたので、まさか、窃盗犯に身を落としていたとは思わなかった。警察が公開した写真を見ると、入手困難な国内外のウイスキーが盗品の大半を占めていた。あれは万引きレベルじゃなく〝プロ〟の仕事。いったい、彼に何があったのか…」

二軍では抜群の成績を残したが、一軍のマウンドに上がるとノーコンになっていたという小野容疑者。

「もともと、メンタルが弱く、一軍ではいわゆるイップスのような状態になっていた。02年に近鉄に移籍しているが、その原因が窃盗癖だったのは記者の間では有名な話だよ」(ベテラン野球担当記者)

プロとしては、通算わずか3勝で03年に引退。その後は職を転々としていたようだ

「逮捕時の肩書は〝職業不詳〟だったが、もともと物を盗むことにあまり抵抗がなかったとすれば、犯罪組織に取り込まれていた可能性もある。何らかの弱みに付け込まれ、酒類の〝仕入れ〟を担当させられていたんじゃないか。自宅に数百本の酒があったというのだから、自分で飲むためじゃなく、売却目的の窃盗だったことは間違いないだろう」(前出・事件ライター)

今後の取り調べで、動機や逮捕までの生活ぶりが明らかになるはずだが…。

「とことん自分を追い込むアスリートには、クレプトマニア、いわゆる〝窃盗症〟という精神の病を発症するケースもある。某女性ランナーが、万引きで何度も逮捕された例が有名だが、小野も該当するかもしれないな」(同・ライター)

一刻も早く罪を償い、真面目に社会復帰してもらいたい。

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