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『マコガレイ』青森県/青森漁港産~日本全国☆釣り行脚

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

青森県は堤川河口にて、ヌマガレイの好釣果を満喫した前回。せっかくなので、今回はカレイに加えてもう1つ、冬の北国の夜釣りターゲットといえる、ジャンボハゼを狙ってみたいと思います。北海道の道南から東北地方にかけては、厳寒期の夜釣りで25センチクラス、時には30センチ近い大物のマハゼ狙いが面白く、以前から目を付けていた青森漁港にやってまいりました。

日没後の暗くなった頃合いで漁港に到着すると、今年は例年以上に雪が深く、竿が出せそうなのは漁港最奥の周辺のみです。でもいいんです。今の時期の夜釣りであれば、ハゼはもちろん、カレイ類やアイナメなど、期待される外道たちも含めて、魚は意外と港奥まで入っていることも多く、下手に堤防先端や港の出入り口付近などで竿を出すよりも面白い釣りができることが多いんです。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

早速、投げ竿に仕掛けを結び、エサのアオイソメをたっぷり付けて投げ入れます。港奥ゆえ水深は3メートルほどとそれほど深くなく、オモリからはやや柔らかめな砂泥底の感覚が伝わります。「うん、悪くない底質だ…」などとひとりごちながら、竿を雪に刺してアタリを待ちます。

ここでちょっと個人的な話で大変恐縮なのですが、このアタリ待ちの時間に音楽を聴きながら待つ、というのが若い頃から好きでして、冬の北国の夜釣りでは断然、中森明菜がいいんですな。雪に囲まれた音のない夜の漁港で『水に挿した花』なぞをエンドレスで聴いていると、アタリなんてもうどうでもよくなってしまうほど引き込まれてしまいます。

ハゼを狙うも…温暖化の影響?

曲に聴き入りながらボーッと竿先を見ていると、いきなり竿先の発光体が激しく揺れました。ハッとして竿を手にすると、ゴクンゴクンッと元気な手応えです。「こりゃハゼではねぇべな」と巻き上げた仕掛けに付いていたのは25センチほどのアイナメ。この釣りの定番外道です。アイナメも旨い魚ではありますが、今日の狙いはあくまでもジャンボハゼ。「これがハゼならいいのに」とリリース、エサを付け替えて仕掛けを投げ、再び曲に引き込まれます。

この後も2本の竿にポツポツと飽きずにアタリがあるものの、アイナメや手のひらほどのマコガレイ、そしてハゼはハゼでも15センチほどと、この時期にしてはかなり小さな物で、期待の25センチを超えるような大型のハゼは一向に掛かりません。昨年の冬、やはりジャンボハゼを狙って函館や石巻などで竿を出しておりますが、いずれも今ひとつ。ハゼの大型化は、低めの年間平均水温と関係がありますから、これも温暖化の影響なのでしょうか。

アイナメ
アイナメ (C)週刊実話Web

「今年もダメなのかなぁ」などと思い、そろそろ竿を片付けようかと考えていると、アイナメの激しいアタリとは違った、地味に竿先を抑え込むアタリが出ました。しばらく待って竿を煽ると、何ともよい感じの重たさです。足下近くまで来てようやくクンクンッと生命反応が伝わるという、これもいかにも良型ハゼらしい反応に加えて、そこそこの重量感から「こりゃハゼなら間違いなく25センチオーバーだべ」などと期待をして水面をヘッドライトで照らしたところ、水面下に見えてきたのは茶色い背中…カレイでした。

“本命”釣れずともカレイに満足!

すっかり大型ハゼを確信していただけに、ちょっとガッカリしつつ、雪の上に抜き上げたのは30センチ級のマコガレイ。う~ん、コレを狙って須磨やら女川に行けば釣れず、ハゼを狙えばマコガレイとは、なかなか上手くいかないものですな。とはいえ、カレイの魚影が濃いのはさすが青森。先ほど釣れた手のひらほどの物は煮付けに、そしてコレは刺身にして晩酌を楽しもうと血抜きを施してキープ。結局、良型ハゼの顔を拝むことなく納竿となり、街中の喫茶店〝エンデバー〟にて、ラーメンで身体を温め直してから帰路に就いたのでした。

マコガレイ
マコガレイ (C)週刊実話Web

マコガレイをさばいてみると、卵(あるいは白子)がほぼありません。といって産卵後のように痩せてもおらず、かなり未成熟の小指の爪ほどの卵? があるのみです。一般的に陸奥湾のマコガレイは今の時期が産卵期のはずですが、最近の気象や水温と何か関係でもあるのでしょうか。まあ、刺身にするには歩留まりがよいので有り難いのですが。

マコガレイ刺身、煮付け
マコガレイ刺身、煮付け (C)週刊実話Web

食べてみると、刺身は適度な歯ごたえとともにカレイ特有の旨味が濃く実に美味。煮付けもしっとりとした食感に、カレイらしい風味がしっかり感じられて旨い煮魚です。

本命の良型ハゼは釣れずとも、雪に囲まれた夜釣りでカレイと中森明菜が堪能できたうえに旨い晩酌も楽しめて、これはこれで何とも満足な青森釣行となったのでありました。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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