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『白いトリュフの宿る森』/2月18(金)より全国公開〜LiLiCo☆肉食シネマ

『白いトリュフの宿る森』
監督/マイケル・ドウェック、グレゴリー・カーショウ
配給/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

これまで、何度かこの連載でもドキュメンタリーを紹介してきました。2013年の『シュガーマン』あたりから、ドキュメンタリー作品がスゴく面白くなってきて、興味を持ち始めた私。

20年の個人ベストワンだって『ようこそ映画音響の世界へ』というドキュメンタリー。でも、今回紹介する作品は、きっとみんなが想像するものと全く違います。

映画関係者は公開前に専用の試写会に行きますが、その際も、映画館と同じ配給作品の予告編が流れることがあります。『ヴェノム』や『バイオハザード』で知られるソニー・ピクチャーズに行った時、予告編でこの作品を目にしました。〝えっ!? ドキュメンタリー?〟と、自分の目を疑ってしまいました。ソニーがドキュメンタリーをやるということは、かなりのものという認識。後日、期待しながら見に行きましたが、これがまたまたビックリ!

『白トリュフの宿る森』は、説明のナレーションはなし。登場人物のバックグラウンドの説明もなし。高級食材の白トリュフを採る方々と、その犬と、ときどき家族の物語です。

自分の仕事に誇りを持つことの大切さ

トリュフを採るプロフェッショナルは、だいたいが人生の大先輩。どこにトリュフの森があるのかを誰にも教えない。それも頑固なほど、絶対に教えない。いやらしい下心で収穫場所を聞き出そうとする人もいます。そういうシーンを見ているだけで、どれだけ白トリュフが高価なものかが分かります。

でも、驚きを隠せないのは、白トリュフを探し出してくれる犬たちの存在。なんと、白トリュフ名人のライバルが毒を撒いて、その犬たちをダメにしようとする。あるいは小切手を持って来て、ワンちゃんを買いたいから、いくら欲しいかを書き込んで、と空欄で突きつけたりする者も。あの高級食材の裏にこんなドラマがあるなんて! しかもトリュフハンター同士のルールや縄張りも存在することに驚き。今まで全く知らなかったし、改めて、今まで以上に大切にトリュフをいただこうと思いました。

彼らの生活を見てるだけで、いや読み取ることで、どれだけ〝自分〟を強く持つことが必要なのか、自分の仕事に誇りを持つことの大切さにも気付かされます。また、イタリア人の情熱溢れる性格も、いい味を出しています。

まさに、頑固オヤジの宿る森。彼らの日常と感情を味わってください。厳しいトリュフの裏社会を知ると、おいしいワインが飲みたくなります。彼らの人生をツマミに乾杯!

LiLiCo
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。

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