「外国産のアサリを有明海で1週間から数カ月養殖すれば、熊本産のアサリになる。そんな手口で消費者をだまし続けてきたのだから、悪質といえば悪質。しかし、有明海にはアサリをエサにするナルトビエイが繁殖し、致し方ない面もあります」(地元記者)
農水省が熊本県産アサリのサンプルをDNA分析したところ、なんと97%が韓国、中国などの外国産である可能性が高いことが分かった。事態を重く見た熊本県の蒲島郁夫知事は1月31日、アサリの産地偽装問題を収拾するため、8日から2カ月間、出荷停止するよう県漁業協同組合連合会に要請した。
牛肉の産地偽装が横行したのも記憶に新しいが、アサリなどの水産物には例外がある。2カ所以上で育てた場合は、育った期間が長い場所を原産地として表示することを食品表示法で認められているのだ。これは「長いところルール」と呼ばれ、業界の長年の慣習だったことから、偽装しても水産業者に罪の意識は薄いという。
問題は氷山の一角か…
熊本産アサリは最盛期だった1977年には6万5732トンの水揚げがあったが、2020年はわずか21トンにまで減少している。
「実は、産地偽装はこれまでも繰り返されてきました。04年~05年にかけては北朝鮮産のアサリが中国の業者を通じて持ち込まれ、熊本産として販売されていた。12年~13年にかけては千葉県の業者が、中国、韓国産のアサリを熊本産と偽装。産地偽装が常態化していたのです」(農水省関係者)
ノンフィクションライターの窪田順生氏が言う。
「水産業界にはアバウトなところがあり、水揚げした港のブランド名が付けられる慣習がある。水産資源が枯渇してきた現在、その傾向が強まっていくのではないでしょうか。偽装問題は氷山の一角だと思います。日本は資源が乏しく、これからは栽培漁業が盛んになっていくでしょう。国産と思われていたものが外国産だったといった偽装が、今後も発覚して大騒ぎになるかもしれません」
偽装問題は〝アッサリ〟解決しそうにない。
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