今回の長期契約で、山田は今後7年間、たとえケガをしても6億円近い年俸を保証される。さらに、その先の「監督手形」も…。
ヤクルトは将来が見渡せないコロナ禍でのチーム残留の利点を説き、ほぼ現状(年俸5億円)に近い条件で残留にこぎ着けたわけだ。
「金に釣られて巨人に行き、気苦労する必要もなければ、突然、解雇される不安もない。山田同様、大野が巨人や阪神の誘いを断って中日に残ったのも、3年9億円の長期契約に魅力を感じたからに他ならない。山田の残留決定の翌日には、守護神の石山泰稚も国内FA権を行使せず、4年契約でヤクルト残留を決めた。残留を条件に長期契約し、ウイン・ウイン。それがコロナ禍のFA資格獲得選手のトレンドになっている」(巨人OBのプロ野球解説者)
来日したバッハ会長は、菅義偉首相や小池百合子都知事、森喜朗大会組織委員会会長らと会談。菅首相は、「人類がウイルスに打ち勝った証しとして、東日本大震災からの復興を世界に発信する『復興五輪・パラリンピック』として実現する」と強い決意を述べ、バッハ会長も「ワクチンが間に合えば、スタジアムに観客を入れられると強く確信できる」と応じた。
「とはいえ、これは形式的な会見で、水面下では五輪の運営に関わる広告代理店『電通』などと情報を交換し、コロナ禍でも五輪が開催できるか可能性を探っていました。IOCが懸念するのは、コロナ対策と、もう1つは日本の財政事情。国内スポンサーの6割以上が、来夏になった契約金の延長分の支払いを確約していないからです」(全国紙の五輪担当記者)
IOCに批判的な報道はできない日本の主要メディア
開催都市の東京都も、約1兆円あった都の貯金「財政調整基金」をコロナ対策に取り崩したため、現在の残額は1000億円程度。日本政府が財政保証すれば喫緊の問題は解決するが、全国紙の調査では、国民の半数以上が「五輪を開催すべきではない」としているため、動きは鈍い。
「小池知事は夏に都議選を控えており、今後もコロナ対策費は削減できず、五輪を開催できる財政状況にはありません。そこでバッハ会長は、日本政府と東京都に、32年への再延期という助け舟を提案し、来夏の断念を打診したのです。日本政府は現在の右肩上がりの株価に配慮して、今回こそ受け入れなかったが、冬の第3波でコロナが感染拡大するのを見越し、年明けに中止を発表する準備を進めているそうです」(同・記者)
日本の主要メディアは東京五輪の大会スポンサーになっているため、IOCに批判的な報道はできない。取材パスもIOCのさじ加減で変わるため、他のメディアも同様だ。
図らずも、山田のヤクルト残留により、東京五輪の中止が浮き彫りになったのである。
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