社会

「イベルメクチン」はオミクロン株にも効くのか?ネットで大論争

(C)Andrii Vodolazhskyi / Shutterstock

『キャベジン』や『バンテリン』で知られる興和株式会社が、新型コロナウイルス感染症の治療薬として〝第3相臨床試験〟を行っている『イベルメクチン』について、「オミクロン株に対しても、デルタ株などの既存の変異株と同等の抗ウイルス効果がある」ことを確認。1月31日に発表し、ロイター通信などが報じると、ネット上で拡散され、ちょっとした騒ぎになっている。

イベルメクチンは、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授の研究を基に開発された飲み薬。「寄生虫感染症」の治療薬として、アフリカ諸国を中心に使われているが、現在は新型コロナの治療薬としても臨床試験を行っている。

「大村特別栄誉教授から『新型コロナウイルス感染症を対象とした、治療薬としてのイベルメクチンの臨床試験実施』について直接依頼を受けたとする興和は、北里大学と共同研究(非臨床試験)した結果、オミクロン株に対しても、既存の変異株と同等の抗ウイルス効果が確認できたとしています」(医療ジャーナリスト)

「妙な箔付け」はいらない

しかし、同社が出したプレスリリースには「サンプル数」や「実験結果」などは掲載されていない。

このため、ツイッターなどで論争が起こっているのだ。

《イベルメクチンの有効性の確認とやらでネットの一部がザワついてるけど。まず論文出てからの話やろ》

《百万回くらい言われてると思いますが、イベルメクチンは新型コロナに効かなくても駆虫薬としては超優秀なぶっちぎりの名薬です。有効性が証明された新型コロナ治療薬が出て来た今、妙な箔付けをしようとする行為はこの薬が本当に必要な人達にとって邪魔でしかありません》

現役の医師などからも、新型コロナウイルスに対するイベルメクチンのデータは「質が低いもの」とする意見が出されており、今回の興和の発表を疑問視する声が噴出しているのである。

《石鹸水で手を洗えばオミクロンだろうがデルタだろうがピんで(死んで)くれるわけですが、それだって「効果確認」なわけですよ。でも石鹸水飲めば治ると思う人いないでしょ。そういう話です》

国産の新型コロナウイルス感染症の「経口治療薬」は、塩野義製薬なども開発に力を入れている。実際に町医者で処方されるようになるまでは、侃侃諤諤の議論が続きそうだ。

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