新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの企業が業績悪化などの影響を受ける中、政府の資金繰り支援策が奏功し、倒産件数は抑制傾向が続いている。
帝国データバンクによると、2021年の倒産件数は6015件となり、過去三番目に少ない半世紀ぶりの「歴史的低水準」となった。
しかし、内実は厳しいという。
「コロナ禍で政府や金融機関が55兆円の融資で資金繰りをつなぎ、本来であれば倒産していたはずの企業まで延命している状況です。特に中小企業は借り入れが増加しており、ゼロゼロ融資の返済が本格化する2022年以降は、企業倒産が増加する可能性が高い」(経済エコノミスト)
オミクロン株の流行によっては、政府による追加支援を行う可能性もあるが、見通しは不透明だ。
このほかにも企業が直面する経営課題はいくつもある。注目されるのは「仕入れ価格の高騰」「人手不足の再燃」「経営者の高齢化と後継者難」である。近時はガソリンや原材料の高騰で、企業の仕入れ価格が大きく上昇している。
日本企業の約6割が後継者不在…
「仕入れコストの値上がり分を販売価格に転嫁できないと、自社で負担せざるを得なくなり、収益が減少、もしくは赤字になりかねない」(大手商社)
ここに来て、政府も賃上げを企業に対して要求している。
「都心のファストフード店やコンビニでは、時給1200円の店舗もあり、求人広告を出しても応募がありません。人材を確保したくても人件費の高騰で正直、厳しい」(中小企業経営者)
また、ここ数年は国を挙げて事業承継問題に取り組んでいるが、後継者難による倒産が急増している。
「21年の後継者難倒産は466件発生し、13年以降で過去最高を更新しました。特に製造業とサービス業で目立っている」(前出・経済エコノミスト)
日本企業の約6割が後継者不在で、代表の高齢化が進んでいる。今後はコロナ禍による業績悪化や過剰債務といった問題を抱えて、廃業や倒産を余儀なくされる企業が増えそうだ。
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