日産“完全復活”までもう一息!? ゴーン時代の黒歴史を払拭して…

日産自動車の2020年4~9月期連結業績は、コロナ禍の影響でグローバル販売台数が減少し、売上高が38.2%減の3兆927億円で、営業損失、当期純損失と赤字だった。しかし、第2四半期(7~9月期)は、第1四半期(4~6月期)と比較して販売台数が回復しており、通期の業績見通しでは赤字幅を縮小基調として上方修正した。

加えて日産の内田誠社長は、21年度における黒字化の実現を掲げ、この決算発表を受けて株価が上昇したという。確かに最近の日産は、次期フェアレディZといわれるコンセプトモデルを発表するなど、ゴーン被告逮捕直後の惨状から比べると、ずいぶん元気になったようにも見える。

「イギリスのジョンソン首相が、国内のガソリン車とディーゼル車の新車販売について、当初の予定よりも早い2030年から禁止にすると発表しました。アメリカでもバイデン新政権によって、電気自動車(EV)が一気に普及することが見込まれ、世界的に日産がお家芸と自負する電気自動車へのシフトが加速しています」(モータージャーナリスト)

ゴーン時代“超日本市場軽視”からの脱却が急務

また、何と言ってもお膝元の日本で、菅義偉首相が「脱炭素社会」を打ち出したことが大きく、時代は日産へ追い風となってきている。一方、現在の課題は、世界第3位の規模を持つ日本市場のシェア回復で、ゴーン時代に敷いた〝超日本市場軽視スタンス〟からの脱却が急がれる。

「多くの既存モデルが発表から10年近く経過している状況で、現在は付け焼き刃的なマイナーチェンジでごまかしていますが、それではとても王者トヨタには太刀打ちできません。世界の日産車を見ると、日本未発売の海外専用モデルが非常に多く、それが国内販売モデルより魅力的に見える。なぜ日本に導入しないのか疑問です」(同・ジャーナリスト)

これらの海外モデルは、日本の道路事情によるサイズ感や輸送コストなど、さまざまな理由で日本導入を躊躇しているという。しかし、既成概念にとらわれない発想が、今の日産に必要ではないだろうか。