日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web
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『カタクチイワシ&マタナゴ』神奈川県横浜市/みなとみらい産~日本全国☆釣り行脚

寒い夜はどこか暖かいトコに行きたいの♡ あくまでも個人的嗜好なのですが、寒さが厳しい冬の釣りでは、すぐ近くに寒さから避難できる施設、コンビニや飲食店、欲を言えばショッピングモールや温浴施設なんかがある釣り場に足が向きがちです。釣りをやっていて、寒さに耐えられなくなったら、すぐに避難ができて身体を温めつつ時間が潰せる施設があるだけで、何とも心強くなるものです。釣り師の風上にも置けないやつですが、もともと志の低いオッサンですから仕方ありません。


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今回は神奈川県横浜市みなとみらい地区にやってまいりました。赤レンガ倉庫やコスモワールドなどがある同地区は観光地として人気のエリアゆえ、飲食店やショッピングモールなども充実しており、寒中釣りの避難施設は十分。加えてデートスポットとしても人気が高く、休日前の夜にはカップルで賑わうなか、そういったことに縁のないワタクシまで、その空間に癒やされるということもあります。幸せのお裾分けを勝手に頂く、といったところでしょうか。


神奈川県横浜市みなとみらい地区 (C)週刊実話Web 

夕方前の桜木町駅に降り、昨年運行を開始したばかりのロープウェイで釣り場へと向かいます。港ヨコハマの景色が空から楽しめるとあって、ロープウェイはなかなかの盛況。家族連れやカップルに交じって1人で列に並びます。乗車時間は約5分ほど。しばしの空中散歩を楽しみ、釣り場となる〝ぷかり桟橋〟前の護岸に行ってみると、寒さのせいか釣り人は数人程度です。


今回の狙いはサビキ釣りのアジです。冬場の夜釣りで、数は望めないものの型のよいアジが回ることがあり、あわよくば良型のアジでも、と空いているスペースに荷物を下ろして準備を始めます。

夕方からアタリ到来♪

魚影の全く見えない、冬らしく青く澄んだ水中にパラパラと寄せエサをまきつつ、サビキ仕掛けを入れます。そのうちに運がよければアジが回ってくるでしょう、と置き竿でのんびりエサをまき続けます。目の前の桟橋には、山下公園や横浜駅への定期船が行き来しており、乗船案内のアナウンスとともに乗客の往来があります。観光の色合いが強い定期船なので、乗客の楽しげな雰囲気にこちらも癒やされます。

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辺りが薄暗くなり始め、そろそろ時合が来てもよい頃…などと思っていると、全く動く気配のなかった置き竿の竿先がフワフワッと揺れました。本日初のアタリです。竿を手にすると既にハリ掛かりしているようで、ブルルッと軽い手応えで釣れたのはカタクチイワシです。狙いの良型アジとはえらい違いですが、この寒いなかで釣れてくれたありがたさを感じつつ、クーラーボックスへキープ。寄せエサをまいてからサビキ仕掛けを沈めると、再びカタクチイワシ。群れが回ってきたのか、一時入れ食いとなりましたが、ほどなくアタリは遠くなり、再び静かな時間となりました。


日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web 

辺りはすっかり暗くなり、周りのライトアップが美しく輝き始めます。アジの時合は夜。ここからが勝負じゃんか!と寄せエサをまく手にも力が入ります。が、竿先はピクリともせず。


日没とともに冷え込みも厳しくなり近くの横浜ワールドポーターズあたりに避難して何か温かい物を…などと心が折れかけたところで、いきなりキューンッ!と竿先が絞り込まれました。

最後に本命!と思いきや…

「ついにアジが来たか!?」と竿に駆け寄り巻き上げると、カタクチイワシとは明らかに違う鋭い手応えです。アジは口が弱い魚なので、強引なヤリトリは口切れの原因となります。ドキドキしながら優しく抜き上げて「今夜はアジの活造りで一杯やるべ」と魚にライトを当てると、掛かっていたのは幅広の…マタナゴ(ウミタナゴ)。お前だったのか…。すっかりアジだと思っていただけに、かなりガッカリです。「でもまあ、寄せエサが効いてきたのはよいコトじゃん」と、気を取り直して再投入したものの再び沈黙の時間。そして、いい加減たった頃に再び鋭い手応えで釣れたのは…またマタナゴ。これでポッキリと心が折れて納竿。ワールドポーターズ内の中華料理店のラーメンで温まってから、トボトボと帰宅したのでありました。

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ということで、当初のもくろみのアジの活造りとは打って変わって、かなり素朴な肴で晩酌です。とはいえ、カタクチイワシの丸干しといえば、これはこれで最高の肴ですし、マタナゴの一夜干しも香ばしい風味が濃く酒が進みます。


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本命の良型アジにはフラれてしまいましたが、観光地でのんびり竿を出してドキドキが味わえたうえに、美味しい肴にもありつけたのでぜいたくは言えず、といったところですかねぇ。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。