両国国技館 (C)週刊実話Web
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大相撲に異変…日大出身力士の不振は田中前理事長の“暴露”と関係か!?

大相撲初場所(東京・両国国技館)もいよいよ終盤戦。盛り上がってきた優勝争いを横目に戦々恐々、身も細る思いでいる一団がいる。所得税法違反で起訴され、日本大学トップの座を追われた田中英寿前理事長の強い影響下にある「日大出身の力士」たちだ。肩身の狭い思いばかりでなく違法賭博関与の黒いウワサまで流され、相撲どころではない。毎日、息を潜めて土俵に上がっている――。


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王国とは、こんなにもあっけなく瓦解するものなのか…。つい3カ月前まで田中英寿理事長といえば、日本一のマンモス大学、日本大学の頂点に君臨し、肩で風切る勢いだった。


それが去年の11月29日、1億2000万円の所得を隠し、5000万円余りを脱税したという所得税法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されたのをきっかけに暗転、急落。今や理事はもちろんのこと、評議員、校友会会長など、すべての役職を解任されて一介の浪人と化してしまった。


「昨年の12月21日、6000万円の保釈金を積んで保釈され、その晩は日大病院に一泊し、翌日に東京・阿佐谷の自宅に戻りました。特捜部の調べには『知らない、関係ない』と反抗的でしたが、最後は素直に応じる完落ちだったようです。自宅はちゃんこ料理店も併設され、逮捕前は砂糖にたかる蟻のように田中詣でをする日大関係者や出入りの業者らで大賑わいでしたが、今はシャッターが下りてガランとした状態。優子夫人は入院中で、この年末年始、田中さんは独り、どうやって過ごしたのでしょうか。かつての栄華を知る者には、都落ちした平家もかくや、と思うような凋落ぶりです」(日大関係者)

違法賭博店への出入りがバレて…

この田中前理事長失墜の影響をモロに受けたのが、大相撲界に送り込まれた教え子たちだ。アマ横綱に3回も輝き、〝アマ相撲界の大鵬〟と呼ばれた田中前理事長は、「自分も、ある部屋から誘いを受け、入門するかどうか迷った」と述懐しているだけあって、大相撲界に対する思いはひとしお。これまで60人余りの日大相撲部出身者を入門させて、十両に昇進するたびに「日本大学」と金色の糸で刺繍した化粧まわしをプレゼントしてきた。

最近、入門者は減ってきたが、それでも初場所現在、幕内に人気者の遠藤や翔猿など5人、十両にも5人の計10人の関取がいる。一大派閥と言っていい。


その後ろ盾が突然、母校から目のカタキにされ、追放されてしまったのだ。日大出身力士たちがうろたえたのは言うまでもない。


そんな中、もう1つの穏やかならざる事件が勃発した。去年の暮れに木瀬部屋の幕内力士、英乃海と十両に昇進したばかりの芝改め紫雷という、どちらも日大出身者が埼玉県内の違法賭博店に出入りしていたことが分かり、師匠の木瀬親方の判断で初場所の全休を命じられたのだ。


すでに埼玉県警や、相撲協会のコンプライアンス委員会から複数回にわたって事情聴取を受けている英乃海と紫雷は、場所後の1月27日の理事会で正式な処分が決まることになっている。


「目も当てられないのは紫雷ですよ。入門から8年あまりかけてやっと十両に昇進し、20代の最後に関取に上がれて『こんなうれしいことはない』と大喜びした直後ですから。これで一度も関取として土俵に上がらないまま、また幕下落ちは決定的です。馬鹿としか言いようがないと、みんな呆れていますよ」(担当記者)


この一見、無関係のような2つの事件。実は裏で大きくつながっている。


この謎解きをしてくれるのは、警察関係者だ。

身に覚えがなくても疑いの目で見られ…

「田中前理事長を取り調べた特捜部は本腰です。田中前理事長も抗しきれず、何もかも白状したそうです。その自白の中で出てきたのが、教え子である英乃海と紫雷が違法賭博店に出入りしていた話です。この話が相撲協会にもたらされ、慌てた協会関係者が師匠を通じて本人たちに確認したところ、間違いありませんと素直に認めたことから急いで休場させることを決めたようです。『ほかにも出入りした力士がいるのではないか?』とウワサされていますが、相撲協会は肝心な情報を持っていませんので、手の打ちようがない。警察からの情報待ちの状態です」

そう言えば、初場所の初日前、コンプライアンス部長を兼ねる尾車親方(元大関・琴風)が取材に応じ、次のように話していた。


「協会の方には、全く情報がない。(ほかに名前が出ないか)正直、ドキドキしている。出ないことを祈りたい」


おかげで、微妙な立場にいるのが日大出身者たちだ。たとえ身に覚えがなくても疑いの目で見られ、居心地が悪いのは言うまでもない。口にこそ出さないが、土俵に集中できない日が続いているのだ。


そのため、揃って成績のほうが散々。今場所、初日から出場している日大出身の関取は7人(3人休場)いるが、白星が先行しているのは平幕の石浦(11日目終了時点で7勝4敗)と十両の大奄美(同6勝5敗)だけ。番付が一番上の遠藤は4勝7敗(同)の体たらくだ。


「今はリモート取材で負け力士の声はなかなか聞けないですけど、聞けたとしても話す言葉はありませんよ」(前出・記者)


館内には、日大出身者の「声なき悲鳴」がこだましている…。