本好きのリビドー/昇天の1冊~『女医が教える本当に気持ちのいいセックス いいトコどり!』(ブックマン社/本体価格1500円)

今から10年前に『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(ブックマン社)がベストセラーとなり大きな話題となった。『スゴ技編』『上級編』など3冊がリリースされ、そして同シリーズの最新版『いいトコどり!』(同/1500円+税)が今回登場。著書は同じく産婦人科専門医・医学博士の宋美玄さん。

これまでのシリーズから、著者が特に大切と考えるエッセンスを抽出した総集編といえる内容だ。「好きな人に触られれば全身が性感帯に!?」「乳房ではなく乳首を愛撫」「女性が感じる部分(クリトリス)を愛撫するには指1本でOK」など、分かりやすいテクニックが満載である。

また、「ディープスロートはそれほど気持ちよくない」「陰のうも同時刺激してもらおう」と、男から女性に提案すべき項目もある。

「How to SEX本」は熟年対象傾向がより顕著

同シリーズが刊行された平成22年に比べ、日本人のセックス観は変わった。どう変わったかといえば、高齢者がもっと性を謳歌しよう、何歳になってもセックスは楽しめる、という風潮が広がってきたことだ。

老いてなお充実した性生活を満喫したいというニーズが高まる一方で、若年男子が一層異性に興味を失いつつあり、セックス・ハウ・トゥ本は熟年・高齢者を対象とする傾向が、より顕著となった。

だが、年を重ねた男たちにさえ、依然として誤った性知識が通説・定説としてまかり通っている。本書はそうしたニーズを的確にとらえ、これからの日本人のセックスライフを提唱した読み応えある1冊だ。

(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)