1月5日、今年も東京・豊洲市場で青森県大間産のマグロの初競りが行われ、1本1688万円で落札された。
3億円超えとなった2019年に比べると、ずいぶん落ち着いた価格になったが、その背景には、やはりコロナ禍による飲食業界全体の苦境があるだろう。
また、ここ数年は、原料高による仕入価格の上昇にも悩まされている。しかも、今後は仕入価格の上昇にとどまらず、さらに厳しい状態が待ち受けているという。
「昨年からズワイガニやウニの価格が大幅に上昇しているが、それは中国に〝買い負け〟している結果です。円安も大きな一因ですが、たとえ円安が進まなくても、中国のマネーパワーを超えることは不可能な状態です。冬場の海産物が日本で食べられなくなる日は、そう遠くないでしょう」(北海道の海鮮卸業者)
世界の食料品の流れが大きく変わった…
買い負けているのは海産物だけではない。昨年12月には食肉加工大手の日本ハム、プリマハム、伊藤ハムなどが値上げを発表した。原因は食肉の買い負けだ。
中国が豊かになったことで、世界の食料品の流れが大きく変わった。そして、食料品確保の動きは世界的に激化しており、中国に対抗するかのようにアメリカや欧州連合(EU)も、さまざまな分野で食料確保に動いているという。
日本の食料買い負けは、この10年で言われてきたことであるが、現状の食生活を維持することが、いよいよ限界に近づいてきたようだ。
「和食」がユネスコの無形文化遺産に認定され、多くのレストランがミシュランガイドに掲載されるなど、日本は豊かな食文化を世界に誇ってきた。
しかし、高度成長期から飲食業界の発展を支えてきたグルメブームは、遠い日の花火となってしまうのか…。国を挙げて早急に対策を講じる必要がある。
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