『最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常』著者:下駄華緒/竹書房
『最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常』著者:下駄華緒/竹書房

『最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常』著者:下駄華緒〜話題の1冊☆著者インタビュー

下駄華緒(げた・はなお) 2018年、バンド「ぼくたちのいるところ。」のベーシストとしてユニバーサルミュージックよりデビュー。火葬場職員時代の経験を生かしたYouTubeチャンネル『火葬場奇談』が話題。本書は発売以降、重版を重ね現在4刷目に突入。
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――そもそも下駄さんが火葬場職員になったきっかけは何だったのですか?


下駄 たまたま知り合いのバンドマンの先輩が火葬場職員でした。その当時、僕自身、親族を火葬場で見送ったばかりで、身近に感じ「どうやって火葬場職員になれたんですか?」と先輩に聞いてみたところ「今、求人募集してるよ」とあっけない感じの返答があり、勢いも手伝って、応募しました。


――遺体によって〝焼き方〟が違うそうですね? どんな方法があるのですか?


下駄 僕の働いていた火葬場では〝上焼き〟と〝下焼き〟がありました。上焼きは最初に点火ボタンを押してからすぐに火の向きを真っ直ぐにして、棺に直接火を当て、穴を開ける方法です。下焼きは火の向きを下向きにして棺を下から満遍なく火葬します。焼き方に対するこだわりという部分が大きく正直、火葬後には大きな変化はありません(笑)。焼き方とは関係ありませんが、ご遺体は一人一人違いますので、火の向きや勢い、火葬の時間もご遺体によって異なりますね。

ご遺族の話を聞き空気を読んで行動する

――火葬中の遺体は、どのような状態になっているのでしょうか?

下駄 火葬を開始して大体15~20分くらいで〝確認窓〟から中を確認するのですが、ちょうどその時間帯が、棺が焼け落ちて故人が見えてきます。人は火葬をすると収縮などが起き、姿勢が動いていることもありますね。そんな時は〝デレキ〟という専用の鉄の棒で姿勢を直してあげることもあります。


また、ご遺体にペースメーカーが入っていた場合、ちょうどその頃に破裂します。全国的にもペースメーカーによる負傷の事故というのは起こっているようで、実際、僕もペースメーカーの破片が飛んできて確認窓に当たり、「ピシッ!」とひび割れる瞬間を目の当たりにしました。通常、ペースメーカーが入っている場合は申告してもらいますが、どういうわけかその申告がなく、物凄い爆音と破裂音でびっくりすることも多々ありました。


――火葬技士になるためには、なにか資格が必要なのですか?


下駄 ボイラー技士の資格がいるなどと、一部ネットの掲示板に書いてあったりしますが、僕はそんな資格がいるとは聞いたことがありません。実際、僕自身もボイラー技士の資格は持っていませんね。


また、火葬技士1級という資格を持っていますが、特に業務に必要というわけではありません。しっかりご遺族さまの話を聞いて、ある程度空気を読み行動することができれば、誰でも行える仕事です。


(聞き手/程原ケン)