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六代目山口組VS神戸山口組 抗争最前線に立つ最高幹部たちの“戦果”と“代償”

(C)週刊実話Web

平成27年から始まった山口組の分裂抗争は令和4年にもつれ込み、混迷の度合いを深めている。これまでに、六代目山口組(司忍組長)による神戸山口組(井上邦雄組長)への襲撃事件が相次ぎ、現在もさらなる攻撃が予想されるのだ。

抗争経験のある他団体幹部は、水面下で行われる攻撃準備についてこう話す。

「最優先は情報収集だ。ターゲットの顔や立ち寄り先なんかを把握して、長いときで数カ月かけて実際に一連の行動を目で確認する。その人物のスケジュールが、規則的であればあるほど狙いやすくはなる」

実際、神戸側の古川恵一幹部が兵庫県神戸市の路上で射殺された事件は、周到な準備のもと実行された。ヒットマンとなった二代目竹中組(安東美樹組長=兵庫姫路)の朝比奈久徳(本名・安東)元組員は、古川幹部が親族の飲食店を手伝うため、営業時間内に店に滞在することを、事前に把握して訪れていたのだ。

「行動確認をしていると、警備状況も分かってくる。常に防弾車に乗って、ガード車両を引き連れるような用心深い人間もいるから、そういう場合は他に対象を移すかな。どうしても狙わなければいけないときは、複数人で実行するか、リスクは高いが拳銃以外の道具を使う可能性もある。ただ、山口組には特定抗争指定が掛かって、組員が集まれない警戒区域があるから、そこではガードが手薄になりがちだ。どんなに用心していたとしても、車両の乗り降りの際には本人の姿が見えてしまうからね」(同)

五代目山健組(中田浩司組長=兵庫神戸)の元直参である與則和・與組組長が、昨年8月に二度目の襲撃を受けたのも、まさに迎えの車両に乗り込もうとした瞬間だった。警戒区域の神戸市内にある自宅から出たところを、銃撃されたのだ。

また、対象者への行動確認の最中には、予想外の出来事もあったという。

「ターゲットの自宅周辺を張っていたら、自分たちと同じ行動をする面々に気付いたことがあった。あとで分かったが、別の直系組織の人間も同じターゲットに当たりを付けていたんだ。結局こっちも実行しなかったけど、いざというときに現場で味方と鉢合わせていたら、パニックになっていただろうし、目的も遂げられなかっただろうね」(同)

準備がひそかに進められている危険性

山口組の対立事件の多くが、計画的な犯行に基づくものだった。六代目山口組が今後も攻撃を続けるとすれば、現在もこうした準備がひそかに進められている危険性があるのだ。

その六代目山口組では、組織運営を担う執行部メンバーの直系組織からも複数の実行犯が出ており、最高幹部らが抗争の最前線に立ってきた印象だ。

昨年1月まで青山千尋舎弟頭(二代目伊豆組組長=福岡)がブロック長を務めた九州では、分裂当初から神戸山口組との乱闘事件などが発生。令和元年には熊本県で起きた神戸側幹部への刺傷事件で、伊豆組系組員らが逮捕、起訴された。

森尾卯太男本部長率いる大同会(鳥取)でも、当時は神戸側傘下だった池田組(池田孝志組長=岡山)若頭への銃撃事件で、最高幹部が実行犯となった。

藤井英治若頭補佐(五代目國粹会会長=東京)がブロック長として立つ関東では、抗争における銃撃事件こそ起きていないものの、神戸側との突発的な衝突が頻発。主に三代目弘道会(竹内照明会長=愛知)が絡んだもので、関東でも不穏さが増したのだ。

分裂抗争では、その竹内若頭補佐率いる弘道会から複数のヒットマンが出ており、地元の愛知を含め兵庫、岡山などで射殺を含む流血事件を引き起こしてきた。

また、安東若頭補佐の竹中組からも、前述した朝比奈元組員による射殺事件に続いて、当時は神戸側直系だった組織が移籍する契機にもなった山口県岩国市での銃撃事件で、傘下組員が実行犯となった。

津田力若頭補佐率いる四代目倉本組(和歌山)においては、地元での突発的な衝突をきっかけに、傘下組長らが当時の四代目山健組直参を撲殺。さらに最高幹部を含む3人が、神戸山口組トップ・井上組長の別宅に発砲した事件に関与したとして、実刑判決を受けた。

薄葉政嘉若頭補佐の十一代目平井一家(愛知)でも、古川幹部への傷害事件で組員が実刑判決を受けるなどしており、〝抗争への意欲〟をうかがわせたのだった。

秋良東力若頭補佐(秋良連合会会長=大阪浪速)に至っては、神戸側との衝突を受けて凶器準備結集罪などに問われ、本人が服役。一貫して無罪を主張したが、検察側は指揮命令系統を執拗に追及し、警察当局による上位者への締め付け強化も感じさせたのだ。

さらに、池田組との対立事件が顕著だった生野靖道若頭補佐の四代目石井一家(大分)でも、複数の組員が逮捕され、殺人未遂事件では生野若頭補佐自身も逮捕された(不起訴)。

報復を堪えても狙われるリスクは変わらない

直系組長や傘下組員らの逮捕、服役は、分裂抗争の最前線に立つがゆえの〝代償〟で、六代目山口組の士気に影響を与えることはなかった。

一方の神戸山口組は、「喧嘩をすることが我々の目的ではない」との方針を変えていないためか、守りに徹している印象だ。

「当初は神戸側による組員の引き抜きが活発で勢いもあったが、徐々に潮目が変わってきた。その一因には、報復厳禁としたのもあったんやないか。報復を堪えたとしても狙われるリスクは変わらんから、今もガードを固めとると思うで」(関西の組織関係者)

当時は執行部ではなかったものの、令和元年11月に青木和重本部長(五龍会会長=北海道)の自宅兼事務所で車両特攻が発生。一昨年11月には、仲村石松若頭補佐(三代目古川組組長=兵庫尼崎)らが銃撃され、重傷を負った。直近でも寺岡修若頭(俠友会会長=兵庫淡路)の関係先で発砲事件が起き、犯人の特定に至っていない中でも抗争事件との見方がされ、緊張が高まったのである。

「表面化しとらんが、直接的な被害に遭っとらん他の最高幹部にも、六代目側は照準を合わせとったいう噂が流れたんも事実や。抗争は煮詰まるばかりやから、組織に影響力のある人物にプレッシャーを掛けていくんやないか。神戸側かて、それを承知の上で組織存続を掲げて、ずっと戦い抜く覚悟なんやろ」(同)

両者とも多くの犠牲を払ってきたが、六代目山口組には直系組織トップの逮捕、神戸山口組には直参への直接攻撃というリスクが、今後も付きまとう。

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