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六代目山口組 新たな“戦闘部隊”の実態――菱統合に向けて進撃!

(C)週刊実話Web 

緊張状態が続く中、昨年に六代目山口組(司忍組長)が納会を執り行った直後、ある〝怪文書〟が業界内外に拡散された。それは、司六代目の進退に関する内容で、警察当局も事実確認に奔走したという。

「司六代目は1月25日の誕生日で80歳を迎えるが、それを節目に代替わりするのではないか、という文面が一斉に広まった。ご丁寧に〝七代目体制〟の人事まで加えられていた。抗争の最中に当代の座を譲り渡すのは考えづらい話だから、ガセに決まっているが、一時は騒然となった。警察も念のため情報を精査したようだ」(山口組ウオッチャー)

分裂後、これまでにも司六代目の引退を示唆するような〝怪文書〟が出回った。今回も組織関係者らは「根拠のない内容」と否定したが、ある関西の組織関係者は異なる見解を示す。

「怪文書の多くは、敵対する組織の動揺を誘うため、意図的に流される場合が多いといわれとる。ただ、抗争が長期化する現状では、別の意図も感じる」

6年以上に及ぶ六代目山口組と神戸山口組(井上邦雄組長)の抗争は、六代目側が優勢といわれながらも、依然として〝着地点〟が見えないままだ。兵庫県公安委員会も、「抗争の終結が認められない」とし、特定抗争指定を今年1月7日から3カ月延長することを明らかにしている。

特定抗争指定の端緒となったのは平成31年4月、兵庫県神戸市で当時の五代目山健組(中田浩司組長=兵庫神戸)・與則和若頭が刺された事件で、改元した令和元年8月には三代目弘道会(竹内照明会長=愛知)の神戸拠点で組員が銃撃された。10月には山健組本部のそばで組員2名が射殺され、六代目山口組・髙山清司若頭が出所すると、11月には尼崎市の路上で神戸山口組・古川恵一幹部が射殺される事件が発生。この一連の対立事件によって、両山口組への特定抗争指定が決定したのである。

「九州で血の抗争を繰り広げた道仁会(小林哲治会長=福岡)と九州誠道会に次いで、日本では2例目となった。九州では抗争終結宣言などが出されたため、約1年半で解除されたが、山口組の指定は令和2年から今年で丸2年になる。いかに、今回の抗争が深刻化しているか分かるだろう」(業界ジャーナリスト)

六代目山口組は武力行使と並行して、組員の引き抜きも積極的に行ってきた。神戸山口組では直系組長の脱退、引退なども相次ぎ、勢力に異変が起きたが、トップである井上組長の決意は変わらず、存続し続けているのが現状だ。

内部に向けた“最終攻撃の号令”!?

「分裂が終わるか否かは、井上組長の意志次第になっとるわけで、攻撃を受けようとも折れないのを見て、六代目側はより慎重になっとるはずや。もし、司六代目の進退に触れたあの怪文書が、六代目内部から発信されたものやったら、代替わりはカムフラージュで、真意はそこやないと思うで。80歳の誕生日を無事に迎えるためにも、山口組の将来に関わる問題を終わらせて早く調和を取り戻そう、いう呼び掛けやった可能性もある。つまり、内部に向けた〝最終攻撃の号令〟やな」(前出・関西の組織関係者)

〝怪文書〟に含まれる新人事には、かねてから直参昇格の呼び声が高い直系組織最高幹部の名前もあった。その最高幹部が率いる組織からは、今回の抗争で複数の実行犯が出ていることも、一部でうがった見方がされた所以なのかもしれない。

そんな憶測をよそに、六代目山口組は昨年12月28日、「餅つき」を実施。一昨年に続いて、十代目瀬戸一家(清田健二総裁=愛知)の本部で行われた。愛知県では弘道会本部のある名古屋市などが特定抗争指定の警戒区域に定められ、組員の集結、事務所の使用が禁止されているが、瀬戸一家は区域外にあるため、早朝から組員が集結したのだ。

敷地内には巨大なテントが複数設置され、その一角からもち米を蒸し上げる白い湯気が立ちのぼっていた。餅をつく音と「ヨイショー!」という威勢の良い声が外まで響き、一年を締めくくるに相応しい雰囲気が伝わってきた。

分裂以前は、全直参が恒例の「餅つき」に参加。神戸市の総本部で行われ、膝を突き合わせて談笑する直参らの楽しそうな様子が印象的だった。

特定抗争指定によって、一昨年から瀬戸一家で開催されるようになり、執行部メンバーに加え近隣の直系組長らが参加。弘道会の最高幹部も待機し、髙山若頭が入ったのちには、司六代目も姿を見せたのだ。

コロナ禍のため全員、事前にPCR検査を受けて参加。合計600キロの餅がつかれ、司六代目も杵を持って直参らと力強く餅をついたという。そこには、日頃の労いと団結を強める意味があったとみられ、まさに組指針である「和親合一」を体現したといえる。

さらに12月29日には、親戚団体である松葉会・伊藤芳将会長(東京)の誕生祝いのため、薄葉政嘉若頭補佐(十一代目平井一家総裁=愛知)、佐藤光男幹部(落合金町連合会長=東京)、浜田重正・二代目浜尾組組長(神奈川)が松葉会本部を訪問。最高幹部らと笑顔で挨拶を交わし、親交の深さを見せつけたのだった。

「年始といえど、気の抜けん状況や」

新たな年を迎えた元日には今年も初詣が行われ、神戸市内の神社で安東美樹若頭補佐(二代目竹中組組長=兵庫姫路)と山下昇幹部(極粋会会長=東大阪)が参拝。兵庫県警の捜査員約10人が警戒に当たる中、拝殿へと向かった。

「司六代目自身が参拝してきたんやが、神戸市は特定抗争指定の警戒区域になっとるから、今年も直参による〝代理参拝〟になったわけや。こういう状況でも初詣を欠かさんのは、地元への感謝の気持ちがあるからに違いないやろ」(地元記者)

一方で、六代目山口組が最終攻撃に向けた準備を、水面下で進めている危険性は否定できないという。

「法の締め付けや厳罰化が著しい中でも、六代目側は武力行使を続けてきた。射殺事件などの裁判では、組織的な犯行が疑われながらも、結果的にヒットマンたちが一人で背負っていった格好や。そういう〝人材〟が六代目側にはおる、いうことやから、すでに新たな戦闘部隊が組まれとっても不思議やないで。年始といえど、気の抜けん状況や」(前出・関西の組織関係者)

昨年12月23日には、ヒットマンの一人である竹中組傘下の高杉龍(本名・上田高裕)組員の控訴審判決が、広島高裁で下された。高杉組員は一昨年8月に、当時は神戸山口組直系だった二代目木村會傘下の前原順一組長を銃撃。重傷を負わせ、一審で懲役17年の判決を受けていた。弁護側は減刑を求めていたが、この日、広島高裁は控訴を棄却。傍聴席には被害者である前原組長の姿もあった。高杉組員が退廷する際に頭を下げると、気遣う言葉を掛ける場面が見られ、加害者と被害者の立場ではなく、互いを思いやるような関係すらうかがえたのだった。

長野県での射殺事件(平成27年10月)が〝開戦の合図〟となった分裂抗争は、複数の死者を出し、戦局が様変わりした。六代目山口組の〝指揮官〟である髙山若頭が現場復帰を果たしたことで、〝政治戦略〟も展開され、他団体にも影響を与える動きが続いてきた。

六代目山口組は〝菱統合〟を目指し、神戸山口組は組織存続を掲げる。双方の方針は真逆で、令和4年も対立の行方が注目される。

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