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JRA重賞『シンザン記念』(GⅢ)映画評論家・秋本鉄次の“ざっくり”予想!

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まずは明けましておめでとうございます。

本年もプラス決算を狙って勝ちに行きます。そして今年こそコロナ収束、往時のような日常を(特に競馬場にフラリと行けること)取り戻せますように。オミクロン株の猛威も、夜明け前の暗闇、と信じましょうぞ。

まずは年末の回顧から。有馬記念も馬連1740円、3連複1440円のダブル的中でシメて、万券2発の師走競馬でプラス・ゾーンに突入したままハッピーエンド。文中で「これはもうエフフォーリア堅軸だろう。負けたのがダービー鼻差のみで6戦5勝なら文句ナシ。鞍上の若武者・横山武も〝栄誉が人を創る〟というが、すっかりGⅠ騎手としてカマボコ(板についてきた)」と記した通り。2着も「鞍上・和田に手が戻る長距離砲ディープボンド」と狙い、3着にはクロノジェネシス。「年の有馬で〝グランプリ4連勝〟の有終の美~引退式という青写真に無理は感じられない」と、勝てなかったが馬券圏内は死守した。終わってみれば、1~5着まで、順番は違っても1~5番人気が入線し、固めの決着となった。

個人的に余計だったのは、穴と狙った〝今年のサラキア的穴馬〟のアカイイト、〝映画関連馬券〟でも推奨したが、無念の7着…。同じく牝馬シャドウディーヴァも12着では、やっぱ2千までの馬だったか、と思うしかない。ただ〝こじつけ買い〟は「〝エフ〟フォーリアから〝ディー〟プボンドでF&Dのアルファベット馬券」とズバリ1着、2着…一応こじつけられた(?)。それにしてもエフフォーリアの強いこと! 来年はこの馬の〝1強〟か。横山武はいずれルメールのリーディングを脅かす存在になるだろう。有馬前日のマズい騎乗で1月15、16日と騎乗停止なったのはご愛嬌。勝利騎手インタビューで勝った喜びより、謙虚に反省していた姿にも好感が持てた。

さて、何事も最初が肝心。まだまだ群雄割拠の明け3歳戦線、今年の飛躍を期する若駒が揃ったシンザン記念である。ジェンティルドンナ、アーモンドアイなど牝馬の超大物が時々出現するが、牡馬の超大物ではもう11年前のオルフェーブル(但し2着)ぐらいか。で、今年は前記の牝馬といずれは肩を並べるほどの名声を得て欲しい、と願うのが牝馬のラスール。何せ鞍上のルメールが「新しいグランアレグリア」と絶賛するほどで、定年が迫る藤沢和師の〝置き土産〟的逸材である。金杯は例によって優雅にお正月休みのルメール大将の〝重賞勝ち初め〟はこの馬! と信じたい。

ラスールの意味は仏語で“唯一無二”だそうで…

相手はデムーロ弟のソリタリオがやはり筆頭か。その前走で2着した〝珍名に近い〟吉田隼ウナギノボリ、ラスールと牝馬同士で〝レズ馬券〟して欲しい池添ショウナンアメリア、本年初日で京都金杯を含む4勝して勢いに乗る松山のカワキタレブリー、名前がややこしいけど岩田パパ騎乗のビーアストニッシド、昨年ルークズネストで2着の幸が騎乗のジャカランダまで。初日に複数勝ち含め好調の川田はこのレースと相性が悪いだけに、レッドベルアームは軽視したい。

〝映画関連馬券〟は大本命のラスールから『エル・スール-南-』(83年)はいかがか。ラスールの意味はフランス語で〝唯一無二〟だそうだが、ここは〝スール〟で無理やり引っ張ってみよう。『ミツバチのささやき』(72年)などで〝10年に一度しか撮らない〟寡作の名匠として世界的に知られるスペインのビクトル・エリセの秀作で、内戦に敗れ、南へと帰らぬ旅へ出た父との思い出を回想する娘の姿を、東洋的死生観と独特の映像美で描いている。あとはウナギノボリから、鬼才・今村昌平監督のカンヌ映画祭グランプリに輝いた名作『うなぎ』も加えよう。妻殺しで出所後、田舎で床屋を開き、うなぎだけを話し相手に生きてきた男(役所広司)が、自殺未遂の女(清水美砂)に出会う…という興味津々なお話ですぞ。

最終的な買い目は、今週は軸1頭ラスール②から①③④⑥⑧⑬へ馬連&3連複を。あと今年の〝お遊び〟として、昨年のエリザベス女王杯でアカイイトを強調しながら、ステラリアへの馬連を取りはぐれた悔しさから、ご贔屓騎手同士の〝松山・幸馬券〟を両者が揃った重賞で、たとえ豆券でも買い続けることにした(ボヤボヤしているうちに、京都金杯で出てしまったが…)。だから馬連④⑥も百円ね。2022年初っ端から的中し、こいつは春から縁起がイイやぁ、と見得を切りたい。本年もよろしくお願いします!

秋本鉄次
映画評論家。〝飲む・打つ・観る〟〝映画は女優で観る〟をモットーに、娯楽映画、中でも金髪女優の評論にかけては業界随一。著書に『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』(キネマ旬報社)など。

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