「そばのように細く長く生きる」という願いを込めて1年の締めくくりに食べる年越しそば。あらためて理解を深めてみよう。
年越しそばの風習が広まったのは、江戸時代中頃といわれている。そばは長く伸ばして細く切って作る食べ物なので、冒頭の〝細く長く〟を願って「健康長寿」「家運長命」など、縁起を担いで食べるようになった説が一般的。だが、他にも諸説ある。そばは他の麺類よりも切れやすいことから「今年1年の災厄を断ち切る」という説もよく知られているところだ。また、金箔を扱う職人が散らばった金を集めるときに、そば団子を使ってくっつけて集めたことから、「お金を集める」という縁起説もある。
さまざまな説が年越しそばを食す風習につながっていることは分かったが、実際にそばを食べるタイミングというものはあるのだろうか。
結論から言うと、具体的に食べるべき時間は決まっていない。大みそかであれば、いつ食べても構わないようだ。
年を越してから食べるのは縁起が悪い!?
かつて大みそかはお正月の準備を終え、一晩中眠らずに年神を迎える日だった。この夜に早く寝るとシワが増えたり、白髪になるという言い伝えが残る地方もある。
大みそかが長い夜になるのは昔も今も変わらないが、年明け前、24時までには食べ終わるようにした方がよい。苦労や厄を来年に持ち越さないという意味もあるので、年を越してから食べるのは昔から縁起が悪いとされている。食べるタイミングとしては、夕食代わりに年越しそばを食べてもいいし、夕食を食べた後、年明け間近の夜食として23時ごろに食べてもいいだろう。
食べ方の決まりもなく、かけそばでもざるそばでも、温冷どちらでも問題はない。またトッピングも天ぷらそば、たぬきそば、鴨南そば等々、好みの一品でOKなのだ。ただ、大みそかのうちにそばを食べるということだけは念頭に置いておこう。
江戸時代から続いているとされる年越しそばだが、今でも約7割の日本人が「年越しそばを食べる」といわれているほど、文化として根付いている。1年を無事に過ごせたことに感謝し、来年が良い年であることを願いながら、そばに舌鼓を打とう。
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