(画像)fizkes / shutterstock
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『ジャンボ宝くじ』という名の“ぼったくりシステム”に気付かぬ人たち…

年末恒例『ジャンボ宝くじ』の当選発表が近づいてきた。東京・有楽町にある『西銀座チャンスセンター』など〝実績〟のある売り場に並んだ誰もが「この中の1人くらいは億万長者になるのだから、自分にもチャンスがあるハズ!」と思って長時間を費やすのだが、実際には売り出し期間中にそこに並んだすべての列の中の1人くらいにしか当たらないのが現実だ。


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宝くじの購入者が億万長者になるのは、まさに〝億の細道〟。それくらい可能性は低い。


「ジャンボ宝くじは最高当選金額が、前後賞入れて10億円ですが、期待値を計算すると100円購入して戻ってくるのは45円程度の還付金にすぎません。つまり、半分以上が広告宣伝費や事務経費を差し引いて地方自治体などの収益になっています」(ギャンブルライター)


惜しげもなく売れっ子の俳優たちを起用し、見ているこちらが恥ずかしくなるようなセリフのテレビCMを連発するのは、そういうカラクリがあったのだ。そういえば販売期間の終盤には、有名歌手にドン引きレベルの〝変な歌〟まで歌わせていた…。


「実は宝くじの〝テラ銭〟は、他のギャンブルと比較してもベラボーに高いのです。ヤミ賭博を開帳するヤクザもたじろぐ、国家による〝悪質錬金術〟と言えますね」(同・ライター)


テラ銭とは古来「寺銭」とする、いわゆるギャンブルなどにおいて主催者に支払う参加料のこと。ギャンブルの主催者(宝くじの場合は国)は、このテラ銭を徴収して運営を行っており、主催者側が提供する場所や人件費もこれに含まれる。


「一般的なギャンブルのテラ銭、すなわち参加料を列挙すると、オートレース30%、競馬・競輪・競艇25%、パチンコ10~15%で、宝くじの55%というテラ銭は、ほとんどボッタクリと言えます」(同)


テラ銭はギャンブルによってさまざまな呼称がある。馬券は「控除率」、パチンコは「営業割」、宝くじの場合は「配当率」だ。宝くじの収益分配はある程度公表されているが、それによると収益金の15%は事務組織である「みずほ銀行」(みずほフィナンシャルグループ)の取り分になり、約40%は正体の知れない公益事業に使われている。多くの宝くじファンは、「どうせ当たらないが、公益事業という公益性につながるのなら寄付したと思って…」などと善意の意識を抱くが、そこがワルたちの狙いなのである。

宝くじという“商売”は実にもうかる!

ここで、宝くじの配当を整理してみよう。

年間1兆円を超す宝くじの売り上げのうち、当選金は約45%。55%のテラ銭のうち、約40%は発売元である都道府県と政令指定都市の収益金に、約15%がみずほ銀の販売経費となっている。ちなみに毎年360億円余りが、総務省所管の日本宝くじ協会や全国市町村振興協会など少なくとも125の公益法人に、しかも複数年にわたって助成金などの名目で流れている(総務省資料から)。


この125法人への天下り常勤役員に対する平均報酬は約2000万円。これに驚くのはまだ早い。天下りが5代以上続く法人も複数あり、地方の財源確保が目的の売り上げが、天下りの人件費など公益法人の運営に食われているのだ。


「チャンスセンターに並ぶ宝くじファンは、賽銭箱を構える天下り役人にせっせと賽銭を投げ入れ、『ハズレたとしても公共事業や公益事業などに役に立つ』との思いもむなしく、政治家はこれら事業からせっせとマージンを抜きまくる。宝くじという〝商売〟は実にもうかるのです。さらに、当選金や当選本数を増やしても、それだけ発行枚数を増やしているから何の問題もない。宝くじのテラ銭は金額ではなくあくまで〝率〟ですから、55%という数字に変動がない限り、発行枚数を増やせばそれだけ胴元の取り分が増えることになるという仕組みです。極論すれば宝くじのテラ銭は〝使途不明金〟といっても言い過ぎではありません」(前出のギャンブルライター)


伝説のロックバンド『RCサクセション』のデビュー曲『宝くじは買わない』の一節。~宝くじは買わない だって僕には 愛してくれる人が いるからさ♪~ 12月31日に夢破れた〝ギャンブラー〟たちに、せめてこの名曲を捧げよう。