「徹底したロープライスを可能にした理由は、大きく2つあります。まず、800店規模のワークマンは大量発注できるため、一商品あたりの価格を安く抑えられる。次に広告費をかけないこと。ワークマンのCMは他のアパレル企業の10分の1程度で、代わりにネットの力を大いに利用しています」
IT関係者がワークマンの斬新な戦略を明かす。
「以前からネット上でワークマンの高機能、ロープライスに惚れ込み、その魅力を発信していた熱烈な愛好者がいました。ワークマンはその人たちを逆指名し、公認アンバサダーとして起用しているのです」
現在、アンバサダーはバイカー、猟師、ソロキャンパーなど約30人。その人たちの意見を徹底して取り入れ、さらなる商品開発に力を注ぎ、新商品がネットで人気を呼ぶという好循環が続いているのだ。
「10月1日に渋谷ヒカリエで開催された『過酷ファッションショー』が、昨年に続き今年も話題になりました。これは雨、風、雪、氷など、あらゆる悪環境の中でも耐えられる衣料品をクライマー、ソロキャンパー、プロライダーなどに着用してもらい、商品の素晴らしさをアピールするイベントです」(前出・アパレル業界関係者)
女子向け新業態「#ワークマン女子」もオープン
10月16日には横浜市・桜木町駅前のショッピングモール内に、「#ワークマン女子」もオープンした。こちらは作業服を扱わない女性向けワークマンとして話題を集め、3時間待ちの行列ができたという。
「古くからワークマンを支えてきたのは、現場作業のプロたち。その人たちが昨今のワークマン人気で、いざ作業着が必要なときに商品購入ができないケースが増えていた。そのため、一般女性客は『#ワークマン女子』に、現場のプロたちにはワークマンへという仕分けで、顧客へのきめ細かな配慮を見せたのです」(同)
そして、「#ワークマン女子」には、さらなる大きな狙いがあるという。
「最終的な目標は、女性用の低価格アウトドアウエア市場です。現在、このジャンルは巨大な空白市場で、実は男性向け市場よりも規模が大きいとみられている。ワークマンは、このジャンルのナンバーワンを目指しているのです」(前出・経済誌記者)
ワークマンは今後10年間で、400店の「#ワークマン女子」を展開する強気の戦略だ。近い将来、ワークマンがユニクロを抜き去る日が来るかもしれない。
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