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蝶野正洋『黒の履歴書』~コロナ時代はクルマ社会

蝶野正洋
蝶野正洋 (C)週刊実話Web

伊藤健太郎くんという、若い役者が自動車事故を起こしたことが報道された。正直言って、俺も、ウチの会社の40~50代の従業員たちも、彼のことはよく知らなかったんだけど、今回の事故で顔と名前を覚えたし、すごく人気がある俳優だというのも分かった。

影響力のある人だから、これで彼のファンの人は「事故を起こしたら逃げちゃいけない」ということが教訓として伝わったんじゃないかな。

それに事故を起こしたときのリスクが大きいから、「芸能人はクルマを運転しないほうがいい」という意見も出ている。伊藤くんの場合は救護義務違反を犯したわけだから論外だけど、確かに事務所からすると事故を起こしてケガをされたら大変だし、何かあったときの違約金が重いから、タレント本人にハンドルを握らせたくないというのはあるかもしれない。ひと昔前の芸能人やVIPなんかは、みんな運転手付きのクルマで移動していた。これは事故のリスクを避ける意味もあったんだと思う。

プロレス界でも、馬場さんや猪木さんがトップの時代は、自分でハンドルを握ることはなく、キャデラックやリンカーンに専属のドライバーをつけるスタイルだった。まぁ、他の業界に対して見栄を張るという部分もあったと思うよ。

ただ、ジャンボ鶴田さん、藤波(辰爾)さんの世代からは自分で運転するようになったし、我々の三銃士世代もそう。プロレス界は巡業バスというのがあって、地方に行くとき、選手はみんなそれに乗るんだよ。ある程度売れると自分のクルマで移動してもよくなるから、俺ら世代はそれがステータスだったのかもしれない。

ウィズ・コロナなら高速道路料金を見直すべき

アメリカとか海外に遠征に行ったときは、巡業バスなんてないから、自分で運転して会場まで行く。アメリカはスポーツ界全体がそうで、野球もアメフトも、基本は空港から選手が自分でレンタカーを借りて動く。何時間もロングドライブすることもあるし、それで事故に遭って選手生命を失ってしまう選手もいるから、問題はあるんだけどね。

日本でもコロナを経たことで、よりクルマ社会になっていくかもしれない。テレワークも普及してきたから、わざわざ都心に住む必要性もなくなってくる。

先日、不動産情報サイトが調査した「コロナ禍で借りて住みたい街ランキング」が発表されたけど、1位が本厚木(神奈川)、2位が葛西(東京)で、都心から離れた地域が人気だった。

この現象も、海外に似てきている。ロサンゼルスやアトランタもそうだったけど、大都市の中心地から30~40キロぐらいは通勤圏内で、100キロぐらい離れてても当たり前のようにクルマで通っている。都会のゴミゴミした所より、ちょっと離れた環境のよい場所に家を持つのがステータスなんだよ。

日本もそうなっていくと、大都市への一極集中問題や防災の面でもメリットがあると思うけど、足りてないのは交通のインフラだよね。特に高速道路の料金が高止まりしてるから、100キロ離れたら往復で5000円近くかかるし、それにガソリン代も入れると経済的にクルマ通勤は難しくなる。

クルマ移動が多くなるウィズ・コロナ時代には、まず高速道路の料金を見直すべきだな。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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