芸能

『美女ざんまい』~落語家・金原亭乃ゝ香インタビュー

前座修業中は師匠方と軽々しく口をきくことは許されず、それでいて寄席でのルーティンを把握して先回りのお世話をしなくてはならない。お茶の温度の好みや、出すタイミング、座布団とマイクの位置関係など、覚えることは次から次に出てきたという。

――修業時代に怒られたことはありますか?

乃ゝ香 もう、しょっちゅうです。最初の頃は、返事の仕方に始まり、何をやっても怒られていました。でも、自分が高座に上がってみると、マイクの線がちょっとズレていても気になったり、お茶の置かれる場所にも自分なりの好みがあるなぁと。それに、案外、自分の中でやりやすいと思う部分も多かったんです。女性だからこそできる気遣いというか…。それはある意味、面白かったです。

――さて、その修業期間も終わり、11月からは晴れて二ツ目。終わってみてどうでしたか?

乃ゝ香 なんだかバタバタしているうちに、アッという間にすぎてしまったなぁという感じです。まだまだ未熟だと思いますが、今度は自分の責任で高座に上がらなければいけないので気を引き締めています。

――お披露目はどんな形で?

乃ゝ香 コロナもありますので、いつもとは違う形になると思いますが、都内の寄席でのお披露目には出させていただきます。11月の上席から40日間、昇進のご挨拶をさせていただいてから一席聴いていただく感じですね。前座時代は勉強という形で高座に上がらせていただけるのも週に1、2回でしたから、40日間も毎日上がれるなんて、それだけでワクワクしています。

英語落語に挑戦してみたい

――今はどれくらいの持ちネタがある?

乃ゝ香 30くらいです。

――得意な演目は?

乃ゝ香 女性が出てくる噺なら『たらちね』、動物が出てくるのなら『元犬』とか『狸賽』などです。遠い将来ですが、怪談にも挑戦したいと思っているんです。幽霊って、そもそも女性であることが多いですよね。女性ならではの表現ができないか、工夫してみたいと思うんです。

――英語落語もありますよ。

乃ゝ香 あ、挑戦してみたいです。

――英語力が活かされるので、お父さんも喜ぶでしょう(笑)。ところで、大学時代に彼氏はいなかった?

乃ゝ香 実は、いました。でも、前座になって毎日寄席に通うのでフラれちゃいました。デートとか約束ができなくて…。

――じゃあ、二ツ目になったらデートも解禁!?

乃ゝ香 今は落語が恋人です。30代半ばになったら焦ろうかな(笑)。

金原亭乃ゝ香◆きんげんていののか 1994年1月6日、神奈川県生まれ。東洋大学文学部英語コミュニケーション学科卒業。2019年、Beats by Dr.DreのCM『ワタシたちが、新色。』などにも出演。

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