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『美女ざんまい』~落語家・金原亭乃ゝ香インタビュー

落語家 金原亭乃ゝ香
落語家 金原亭乃ゝ香 (C)実話Web

4年ほど前、ミスコンファイナリストで現役大学生の落語家・金原亭乃ゝ香が、おじさん師匠ばかりの寄席に出現。「美人すぎる」とメディアをザワつかせた彼女だったが、このたび前座修業を終えて、めでたく二ツ目に昇進することに。お披露目前の心境などを聞いた。

――確かに美人です。秘書か受付嬢と言われても信じちゃいますよ。

乃ゝ香 そんな…でも、ありがとうございます。

――大学在学中から師匠(金原亭世之介師)に弟子入りして前座修業を始めたそうですね。なんでまた?

乃ゝ香 実は、大学に入る前から少しだけ芸能活動をしていて、アメリカに2年間留学している間はどっぷり英語漬けだったんです。帰国してからは演劇の学校にも通い、舞台にも何度か出させていただきました。

――でも、落語とは全く縁のない生活ですね。

乃ゝ香 留学している時に、知り合う人たちはみんな日本の文化にとても興味を持って質問してくれるんです。でも、私はほとんど知らなかった。アニメや漫画、忍者や着物…何一つ、まともに答えられなくて恥ずかしい思いをしたので、帰国後は着付け教室に通ったりもしました。そういう意味では、日本固有の文化にアンテナを張っていたんだと思います。

――そこに落語が引っかかったわけだ。

乃ゝ香 演劇の学校が師匠をお招きして、初めて聞いた演目が文七元結でした。もぉ、心を鷲づかみにされちゃいましたね。お芝居とはまた違い、1人で演っているのに、私の頭の中に物語と情景がフワァッと広がって、ところどころでちゃんと笑えて感動もできる。「面白い。やってみたい!」と思ったんです。

――落語に対する基礎知識はどれくらい持っていた?

乃ゝ香 ほぼ、ゼロに近いです。というのも、私の家は両親の教育方針でテレビがなかったんです。アニメやドラマはもちろん、『笑点』という番組すら詳しくは知りませんでした。うっすら描いていたイメージは、着物を着たおじさんが出てきておしゃべりしている…みたいな。

自分の芸を磨いていくところに魅力を感じて…

――テレビがない環境で、当時は何が娯楽だった?

乃ゝ香 父からは「本をよく読みなさい」と言われていたので、読書は好きになりましたね。谷崎潤一郎など、近代文学を好んで読んでいました。

――そういう子が、大学に入った途端、ミスコンに出たわけだ。

乃ゝ香 1年生の時でした。「大学生になったら、やってみたいこと」の一つだったんです。グランプリではありませんでしたが、審査員特別賞をいただけたので満足しています。

――入門時の話に戻ります。弟子入りを志願したわけですね?

乃ゝ香 はい。落語を習いたいと思い、師匠にお話を伺ったら、「前座という修業期間があって、その間は自由なことは何もできないし、寄席に毎日通うことになる」と言われ、正直不安はありました。寄席は全く未知の空間ですし、男社会で大変なんだろうな…って。それでも、あの感動が忘れられなくて、入門させていただいたんです。

――それがある意味、就活だったわけですか?

乃ゝ香 結果的にはそうなりますね。落語界には定年はありませんし、自分が元気ならずっと仕事ができます。長い時間をかけて自分の芸を磨いていくというところにも、すごく魅力を感じています。

――ご両親の反応は?

乃ゝ香 母は何も言いませんでしたが、父は反対でした。芸能活動自体にあまりいい顔をしていなかったし、せっかく勉強した英語とは、真反対の世界ですから…。

――どうやって説得した?

乃ゝ香 説得はしないで勝手に始めちゃいました。許してもらえたのは半年ぐらいしてからですね。最近になって落語も聞きに来てくれるようになったんですよ。