
M-1語り継がれる名勝負の舞台裏&闇営業問題すべて話そう!~『スリムクラブ』インタビュー
2010年のM-1グランプリで初の決勝進出を果たし、ある意味、優勝した笑い飯以上に注目を集めたスリムクラブ。独特の間、スローテンポなスタイルで、この2人にしかできない漫才を突き詰め爆笑を巻き起こしている。その2人がM-1の舞台裏、さらにその後の低迷期について心の内を包み隠さず打ち明けてくれた。
【関連】一発逆転を狙うM-1芸人たちの凄み~『さらば青春の光』インタビュー ほか
――今回は『M-1グランプリ』(以下、M-1)の話を中心にお伺いします。スリムクラブは去年が結成15年目ということで最後の出場でした。
真栄田賢(以下、真栄田)「M-1は見ている方からするとお笑い番組でしょうけど、出る側からすると戦いの場です。単純に怖いですよ。審査員も観客も雰囲気がピリピリしているから。大袈裟じゃなくて、あの場で人生が一変しますしね」
内間政成(以下、内間)「芸人にとっては、大会に出ること自体がステータスになっているんです。僕も賢さんもスリムクラブの前は別の相方とコンビを組んでいましたけど、おいそれとエントリーできなかったですから。それくらい遠い世界の話でしたね」
――スリムクラブのM-1史を振り返った時、最もインパクトを残したのは準優勝した2010年だったと思います。
真栄田「あの時はM-1の前にあった『キングオブコント』(TBS系)にすべてを懸けていたんです。当時の僕らは『エンタの神様』(日本テレビ系)に出て名が知られたのはいいけど、一発屋で終わり、月給は5000円くらいまで減っていた。家賃が払えず、借金も結構ありましてね」
内間「僕なんてさらに低くて、月4000円くらいでしたから。芸人を辞めて沖縄に帰ろうにも、その飛行機代が捻出できなかったです」
真栄田「とにかくここで一撃を喰らわせて人生の一発逆転に懸けるしかないと挑んだのが『キングオブコント』。自信はあったんですけどねぇ。準決勝であっけなく負け、カメラが回っていないところでリアルに泣いていました」
内間「TBSの近くにあるコンビニで缶ビールを買ってきて、2人で飲んだことを覚えています」
真栄田「そこで内間に言われたのが『賢さん、報告があります。子供ができました』って。愕然としましたよ。『お前、こんな切羽詰まった状況でも中出ししていたのかよ!』という驚きもありましたし(笑)」
内間「あの時は本当に自信があったから、決勝進出を決めたタイミングで『実は嬉しいお知らせが…』と切り出すつもりだったんですけどね(苦笑)」
真栄田「ネタに自信はあるけど、世間は認めてくれない。カネはない。でも子供はできた。退路を絶たれて人生が袋小路ですよ。それで最後に一縷の望みを懸けるようにして、スーツを買ってきたんです。僕らは本来コントをやる2人組。だけどM-1の基本は漫才だから、やはりここはスーツを着て勝負しようと」
M-1準優勝で“賞金”1万円!?
――笑い飯との頂上決戦は、いまだに名勝負として語り継がれています。真栄田「笑い飯さんの出番中は『負けろ、負けろ』って心の中で祈っていました。やっぱりそれくらい優勝したかったんですよ、僕らも。それで全員の出演が終わって待機していたら、哲夫さんが僕らのほうに寄ってきてボロっと言ったんです。『お前らの勝ちや』って」
内間「それを聞いた時点で賢さんは泣いていました」
真栄田「ただ、哲夫さんはこうも言っていたんです。『審査というのは好みだから、もしかしたら審査員は俺たちに入れてしまうかもしれん。その時は1万円で勘弁してな』って。で、結果は僅差で笑い飯の優勝。さすがに哲夫さんも泣いていました。ところが内間ときたら、そんな感動的なムードに水を差すように『やったー! 1万円だー!』とか呑気に喜んでいるんです。アホすぎますよ(笑)」
――M-1は笑いだけでなく、涙が見られる場でもあるわけですね。
真栄田「涙といえば、2010年の時は内間にも泣かされました。いよいよ決勝戦で自分らの出番が来るということで、舞台に出るためのエレベーターに乗ったんです。もう『ここで滑ったら死ぬ』くらいの悲壮な覚悟だし、人生を懸けているわけだから、気分的には処刑台に向かうエレベーター(笑)。そこで内間が僕の肩をポンと叩きながら『賢さん、今までありがとうございました』って声をかけてきたんです。なんだかもう解散する時みたいな口ぶりで」
内間「確かに言いました。めちゃくちゃ感謝していたにもかかわらず、それまで賢さんにきちんとそのことを口にできていなかったんですよね。自分で自分がポンコツだということは分かってるわけじゃないですか。僕は日本語もおぼつかないし、ネタも書けない。そんな僕が山のように芸人がいる中でトップ8組に入ってしまった。これはすべて賢さんのおかげですから」
真栄田「『賢さん、ひょっとして調子悪いですか? でも大丈夫ですよ。今日、自分は絶好調ですから』ってエレベーターの中で励まされましてね。内間がリードしてくれたことなんて、後にも先にもないですよ。『僕だけを見ていればいいんです。僕はずっと笑っていますから。賢さんは松本(人志)さんのことが好きすぎるから、絶対に松本さんは見ちゃダメ』とか、メンタル的にも支えてくれました。あの日の動画を見てもらえば分かると思うけど、出てきた瞬間、2人とも笑顔と涙が入り混じったような表情をしているはずです」
寝耳に水だった闇営業問題
――M-1で人生が一変するということでしたが、スリムクラブの場合は?真栄田「いきなり準優勝の翌日に『笑っていいとも!』(フジテレビ系)に出演することになったんです。『あのタモリの番組に俺が?』ってこっちは半信半疑ですよ。その2日後には任天堂のCMも決定。それまで吉本からはないがしろにされてきたのに、急に担当マネジャーがつくし。電車に乗っていてもヒソヒソ指をさされるので、急に有名人になったような居心地の悪さがありましたね」
――キャバクラとか風俗にも行けなくなる?
内間「いや、むしろ頻繁に行くようになりました。自己紹介がいらなくなったので助かりました」
真栄田「なんで風俗で自己紹介が必要なんだよ(笑)。それはさておき、周囲の反応だけじゃなく経済的にも潤うようになったから、精神的に変化が生じたんですよ。天狗になっている自分にも気づいたし、『調子に乗ったらいかん!』と謙虚になるようにも努めましたし。そんな中で起こったのが例の闇営業問題で…」
――それ、雑誌に載せても大丈夫なんですか?
真栄田「はっきり書いてください。結局、あれは僕の経済的な不安感から起こしてしまったことなんです。ある日、吉本の人から『闇営業が問題になっているのは知っているだろう? 実はお前らにもその話が出ている』って言われ、こっちは寝耳に水で『はあ?』って感じだったんですよ」
内間「僕なんて『水曜日のダウンタウン』(TBS系)のドッキリに違いないと思っていたくらいです」
真栄田「話を聞くと、どうやら3年前の出来事らしい。確かに僕らは直営業がダメだということも知らなかったから、直営業をしたことはありました。その中に反社の人間が混じっていたというんですね。最初、僕らは被害者意識丸出しで、『紹介者にハメられた』くらいに思っていたんですよ。『今すぐ釈明会見を開かせてほしい』って言いましたし。だけど冷静に考えれば、やっぱりどこかで脇の甘さというか気の緩みがあったのも事実で。現に直営業の話を持ちかけられても、それに応じなかった芸人はいるわけですから」
――確かにそうですね。
真栄田「経済的な不安を常に抱えていたというのは、僕の親が自己破産したり、家が火事になったという過去も関係していると思います。でも、やっぱりM-1で世界が変わったことが大きいんじゃないかな。あそこで給料は上がったけど、それによって逆に精神的な焦りが増していったんですよ。M-1が人生を変えるというのはまさにそこであって、天国にも地獄にもなり得るものなんです。僕らはM-1に心から感謝していますけど、それくらい魔力のある場なのは間違いないでしょうね」
スリムクラブ(真栄田賢、内間政成) ともに沖縄県那覇市出身。大学で出会い、2005年2月にコンビ結成。10年のM-1グランプリで決勝進出するも、僅差で敗れ準優勝。翌年のTHE MANZAIでも決勝進出、真栄田はR-1ぐらんぷりで決勝進出するなど人気となる。19年の吉本興業闇営業問題により無期限の活動自粛を経て現在に至る。
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