日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web
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『オオクチバス』長野県/上諏訪産〜日本全国☆釣り行脚

いよいよ冬の気配が濃厚に感じられるようになってきた12月。


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寒風吹きすさぶ中での釣りはなかなか身体にこたえるもので、今回は暖かいところで楽チンな釣りをしようと、長野県は諏訪湖にワカサギを狙いにやってまいりました。


冬のワカサギ釣りというと、結氷した湖の氷に穴を開けて釣る〝穴釣り〟のイメージがあるかもしれませんが、諏訪湖には巨大ビニールハウスのようなドーム船がありまして、このドーム船の船底に開いた穴に仕掛けを入れて、寒さとは無縁のワカサギ釣りが楽しめるんですな。しかも船宿には貸竿、仕掛け、エサもありますから、手ぶらでOKという手軽さも嬉しいところです。


さて、朝の諏訪湖畔に到着してみると風がビュービューで沖には白波が立っております。「船宿の釣果情報を見るに、そこそこ釣れているようだし、まあ釣れるでしょう」と受付を済ませ、小舟にて約5分。沖に設置されたドーム船へ乗り込みます。外は強風ですがドームの中はポカポカ。「こりゃ快適」と釣り始めたものの一向にアタリはありません。船宿情報には200尾前後の釣果が書かれていたので、こんなワタクシでも、取りあえず20尾も釣れれば旨いフライで晩酌ができると頑張ってはみたものの、昼前までやって2尾。


さてどうしたものか…。「短時間で釣れすぎちゃったら、近くの川で寒ブナもやってみよう(皮算用)」と、一応、安物の渓流竿と赤虫、ミミズは持ってきております。ここは潔くワカサギは諦めて寒ブナを狙ってみることにしました。


陸に上がり、寒ブナの実績が高い船渡川で竿を出します。が、当然といいますかこちらも強風が吹き、寒いことといったらありません。「こんなことなら釣れなくても、まだドーム船の方がよかったかも」などと半ば後悔しつつ川辺を探りますが、一向にアタリはありません。 情緒ある水路で入れ食いに♪

もうこうなったら、片倉館に行くしかありません。「ま、こんな時もあるよな」などと独りごちながら歩くうち、歴史を感じさせるお屋敷沿いの、何とも風情がある小さな水路にぶつかりました。淀んだ水際の所々には枯れたヨシが茂り、実によい雰囲気です。エサも残っていることですし「ひょっとしたら、タモロコでも…」と竿を取り出し、簡単な玉ウキ仕掛けに赤虫を付けてヨシ際に仕掛けを入れます。と、すぐに玉ウキがピョコッピョコッ! スーッと沈みました。反射的に手首を返すとブルブルッと小気味よい手応えで釣れたのは、豆バスなどと呼ばれるサイズの小さなオオクチバスです。


オオクチバス (C)週刊実話Web

朝から釣りをしてド貧果の夕方、ようやくまともなアタリがあるというのは、魚が何であれ嬉しいもので、再び仕掛けを投入すると、すぐにアタリで続けて豆バス。「そうだ、こんなに釣れるのなら、こいつをフライにすれば晩の肴になるじゃねぇか…」ということで袋に入れてキープします。仕掛けを入れるたびにアタリがあり、よほど活性が高いのか、時には水面を漂う玉ウキにまでアタックしてくる始末です。こりゃ楽しいわい。


数が釣れると「もうちょっとイイ型のもいないのかしら?」と欲が出るもので、諏訪湖特有の〝泥舟〟と呼ばれる昔ながらの和舟の影に太めのミミズをエサに仕掛けを入れます。ほどなくポワンポワン、スーッとウキが沈み、今までの豆バスよりは力強い手応えで小バスがヒット。小バスでも、のべ竿&玉ウキで釣るとなかなかに素朴で面白いもので、ひとしきり入れ食いを堪能するうちに薄暗くなり、ウキも見づらくなったことから竿をしまうことにしました。釣果の方も数えてはいませんが、当初の目標の20尾ほどは釣れたでしょうか(ワカサギの目標では?)。


バス (C)週刊実話Web

さて、帰宅後はオオクチバスのフライをツマミに諏訪の地ビールで一杯です。小バスは三枚におろし、豆バスは頭と腸を抜いて、揚げたてをつまむと、これが思いのほか旨く、ビールが進みます。


バスのフライ (C)週刊実話Web

頭から食べられるワカサギと比べると一手間かかりますが、これだけ旨いのなら肴には十分。ワカサギ、マブナには見事にフラれてしまったものの、オオクチバスで癒やされて、締めくくりには片倉館で大満足な諏訪釣行となったのでありました。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。