来夏の感染状況を別にすると、NHKをはじめとするテレビ局は〝たとえ無観客でも大会は行うべき〟という雰囲気作りを行っているような気がしてならない。
また、前号で外岡氏が指摘していた「現在、世界で流行中の新型コロナウイルスは、初期のウイルスに比べ、変異によって感染力が強くなった」に要注意。
ハムスターを使った実験で河岡義裕・東京大学医科学研究所教授らのチームが、米科学誌サイエンス電子版に研究結果を発表(11月13日付)したのだ。
当初、新型コロナは中国・武漢市で流行した。同チームによると、感染に関わるタンパク質が変異したウイルスが出現し、この変異ウイルスが欧州を起点に世界へ広まり、今も拡大を続けている。河岡教授は「人でも同様と断言することはできないが、変異が感染拡大に影響した可能性は高い」としている。
「コロナウイルスは変異し続けている。私はこの感染力を強めたウイルスが世界を制覇すると見ている。スペイン風邪だって発生から3年くらいは世界のどこかで流行していた。コロナウイルスもおそらく、そういう状況が続くでしょう。そして、終わったと思っても、流行している地域で感染力を強めたウイルスが再び流行を拡大させないとも限らない」(外岡氏)
中国は“ウイルス入れるな”で五輪不参加!?
もし東京五輪が開催されれば、東京を中心に人の往来が激しくなるのは避けられない。観戦目的ではなくとも、五輪が行われる日本を一目見ようとする海外の観光客が入れ代わり立ち代わり入国するだろう。
この夏、スペインで変異ウイルスが発生したことは、東京でも起こりうる。日本発の第4波、第5波が世界中に拡散するかもしれない。北海道がいい例だ。
「北海道で新規感染者が急増していますが、今のGoToトラベルを続けていけば、感染力を強めたウイルスが日本中に蔓延するでしょう。新規感染者2000人超えどころか1万人に達するのも、そう遠い先のことではありません」(外岡氏)
ノンフィクション作家の織田淳太郎氏が言う。
「オリンピックは参加することに意義があるのに、ロス五輪以降、オリンピックの精神からどんどん離れていった。政治利権、経済利権が絡んでくることが多く、何のためのオリンピックかと言いたい。この際、オリンピックの意義をあらためて問う必要があると思います。コロナ禍はそのきっかけを与えてくれたと考え、中止にすべきです」
世界の感染状況からして、五輪参加を断念する国が出て来てもおかしくない。
「習近平率いる中国は、感染力が強いウイルスを国内に持ち込まないよう辞退するのではないか」(織田氏)
コロナの波状攻撃は続く。
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