阪神タイガースの正捕手・梅野隆太郎がFA権を行使せず残留する。
その慰留成功が発表されたのは12月3日。今季130試合に出場した正捕手の残留は大きなプラスだが、決断に至るまで時間がかかり過ぎたのはなぜか?
「ヤクルトの中村悠平捕手もシリーズ終了後、即残留表明とはいきませんでした」(スポーツ紙記者)
梅野からは「このチームで優勝したい」と、力強い言葉が聞かれた。
セーブ王のR・スアレスの退団が決定した12月1日、嶌村聡球団本部長は梅野の去就についても質問されたが、「引き続き説得を続けていく」としか答えられなかった。翌2日、スアレスのMLB・パドレス入りが報じられたときも同様だったので、梅野の残留は急展開と言っていい。
「梅野の今季年俸は1億1000万円(推定)。残留が決まった時点で、球団側は契約年数、新しい年俸額は明かしていません」(在阪記者)
昇給は間違いなく、今季の梅野は侍ジャパンメンバーとしても奮闘したが、打者としての成績は落としている。得点圏打率3割2分1厘はリーグ2位と誇れる数字だが、打率は2割2分5厘で規定打席到達者の中では最低の数字だ。
どの球団もコロナ禍でシブ賃昇給
「盗塁阻止率も2割8分8厘と低かったです。矢野燿大監督はペナントレース最後の11試合、スタメンマスクを梅野ではなく坂本誠志郎に託しました」(同・記者)
坂本が正捕手争いに名乗りを上げてきそうなのだ。昨年のドラフト会議で大学屈指の好捕手・栄枝裕貴を指名したのも、有事に備えてのこと。梅野は「残留=安泰」とはいかないのだ。
「ヤクルトの中村もファン感謝デーの行われた5日に残留が決まりました。こちらも年俸など条件は不明です。中村は攻守に活躍しましたが、昨季は出場29試合、打率1割台と成績が悪過ぎます。残留の細かな条件はこれから詰めることになりそう」(球界関係者)
両捕手がすぐに去就を決められなかったのは、現状における何かしらの不満もあったからだ。球団が必死に引き止めたのは、最重要機密であるバッテリーサインや投手陣のクセを流出させたくなかったためだ。
「コロナ禍で、どの球団もシブ賃昇給となります。今後、選手の不満をどう抑えるかが問題です」(同・関係者)
大盤振る舞いによる慰留説得の成功は、正捕手争いのほかに、〝新たな火ダネ〟を呼びそうだ。
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