岸田文雄 (C)週刊実話Web
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岸田政権に暗雲…来夏参院選“敗北”をもたらす「オミクロン株」第6波

10月の衆院選で大方の予想を上回り、単独過半数(233議席)どころか、法案を円滑に通すことができる絶対安定多数(261議席)を獲得した自民党。


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有権者の信任を得た岸田文雄首相が、後は自信をもって政権運営に臨むだけと思った矢先、新型コロナの新変異型「オミクロン株」の出現により、急転直下、雲行きが怪しくなってきた。


「まだ状況が分からないのに岸田は慎重過ぎるという批判については、私がすべてを負う覚悟でやって参ります」


水際対策を強化する必要に迫られた首相は、11月29日、全世界を対象に外国人の新規入国を原則停止すると発表した。


しかし、本当にすべてを負う覚悟があるのか、実に疑わしい。このとき、政府は日本人を含めた1日当たりの入国者数について、拡大していた5000人程度から3500人に戻すことを決めている。


これを受け国土交通省航空局は同日、日本に到着する国際線の新規予約を止めるように航空各社に要請し、日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)は予約を停止した。しかし、岸田首相や斉藤鉄夫国交相はその報告を受けておらず、実際に報告を受けたのは12月1日だったという。


海外に単身赴任しているビジネスマンたちは、さぞかし驚いたことだろう。社会の反発を招き、国際便の予約停止要請は最終的に撤回されたが、危うく日本にいる家族と、年末年始を過ごすことができなくなるところだった。


その後も首相は「さまざまな混乱が生じているので、その需要に十分に配慮して対応するようにと指示をした」と、悪びれる様子はまるでなし。「詳細については国交省に確認をしていただければと思っています」と、説明責任すら果たそうとしなかった。

自国民の保護を忘れた岸田首相

一連の対応は、官邸と国交省との連携不足という一言で済まされる話ではない。自国民の保護にまで、首相の考えが至っていなかったという重大な問題をはらんでおり、これではすべてを負う覚悟は見えてこない。

こうしたトラブルの発生は、オミクロン株に対する焦りの裏返しと言える。


南アフリカが新たなコロナ変異株の存在を世界保健機関(WHO)に報告したのは、日本時間で11月25日。首相は翌日に南アや周辺の計6カ国に対し、水際対策を強化する方針を打ち出すとともに、入国者には宿泊施設で10日間の待機を求めた。しかし、ネット上は「10日間ではぬるい」という批判であふれ返った。


国内で確認されたオミクロン株の感染第1号は、ナミビアの外交官で、判明したのは11月30日だ。全世界からの入国禁止を表明したのが29日なので、時系列からすると先手を打ったように見える。


しかし、実はこの外交官は、28日に成田空港に到着していた。政府はこの外交官がオミクロン株に感染している可能性が高いとみており、慌てた首相は翌29日に全世界からの入国禁止を表明した。これが実態であり、先手どころか見えてくるのは、オミクロン株の襲来に慌てふためく姿だ。


3回目のワクチン接種を巡っても、不安がつきまとう。ワクチン接種は2回目から8カ月以上の間隔を置くことが原則で、クラスター(感染者集団)が発生した医療機関や高齢者施設の利用者、医療従事者らについては、例外として8カ月を待たずに6カ月で追加接種を認める方針だ。全国知事会や日本医師会は接種間隔の短縮を求めており、政府はどこまで例外を拡大させるか検討中だ。


あまりにも多くの人に前倒しを認めてしまえば、ワクチンが供給不足に陥る可能性がある。政府は米製薬大手ファイザー社と来年用の1億2000万回分を契約済みだが、後藤茂之厚生労働相は「平均的ペースで入手する契約」と説明している。一気に入手できるわけではないのだ。

官邸サイドが神経を尖らせる“3回目”の接種

厚労省幹部は「ワクチンが足りなくなるまで打ち続けるやり方もあるが、不公平が生じ、社会は混乱するだろう」と語る。3回目接種のオペレーションは岸田政権の浮沈に直結する可能性が高く、官邸サイドは神経を尖らせている。

菅義偉前首相が行ったように、岸田首相がファイザーの最高経営責任者(CEO)に直談判し、調達の前倒しを求めるシナリオも囁かれている。首相の手腕、交渉能力が問われるところだ。


病床確保を巡っても、官邸が思うように対応できるか、いささか不安が残る。


11月12日、政府は新型コロナ対策本部でコロナ対策の「全体像」を決定し、感染力が第5波の2倍になっても対応できるようにするため、今夏の約3割増、約3万7000人の入院が可能になる計画を定めた。


しかし、これを達成するには病床使用率を約8割にする必要があり、医療現場からは「看護師ら医療人材が確保できなければ、病床使用率8割を実現するのは難しい」(都内の医師)との声が上がる。しかも、その医療人材を巡っては、具体的な数値計画はない。


現実は、ワクチンを2回接種した人もオミクロン株に感染しており、このような「ブレークスルー感染」が相次げば、この病床計画は「絵に描いた餅」になる可能性は高い。


首相は事あるごとに「最悪の事態を想定して対応する」と語るが、来年夏の参院選に向け、「やっている感」の演出に汲々としていることは否めない。


その参院選までに、果たして第6波は到来するのか。ベテランの政界関係者はこう予測する。


「第6波が到来して対策が機能しなかったとき、参院選での惨敗は免れない。岸田政権も終わる」


岸田首相は早くも正念場を迎えている。