
「100万円のワイロ」田中角栄の事件史外伝『炭管事件と獄中立候補』Part4~政治評論家・小林吉弥
「何がなんだか分からないうちに、スケジュール表からお抱え芸者衆の花代の伝票まで、商売に関わる書類という書類、それに個人的なメモ帳まで、根こそぎ押収されてしまいました。おかあさん(女将)と私も、改めて事情聴取に呼ばれました。獄中で『金満津』が捜索を受けたことを聞いたおとうさん(田中角栄)は、『女、子どもを調べて何が分かるんだ!』と大変に怒ったそうです」
事業で成功、一方で代議士1年生となった田中角栄は当時、東京の花街・神楽坂に通っていた。置屋「金満津」のお抱え芸者だった「円弥」すなわち、のちに田中の「神楽坂夫人」と呼ばれることになる辻和子は、自らの回想記『熱情』(講談社)の中で、田中逮捕後の自身に及んだ家宅捜索、事情聴取の模様を語っている。この時点、田中が「円弥」の“旦那”となって1年余りが経っていた。
さて、この炭管事件の裁判は、どのような経過をたどったのか。
田中への容疑は、時の片山(哲)内閣が企図した石炭の国有化(臨時石炭鉱業管理法案)に猛反対する九州の炭鉱業者から、反対運動の工作費として100万円の小切手を受け取ったとされるものであった。田中が社長の「田中土建工業」は、もともと炭住(炭鉱住宅)の建設に絡んで業者と密接につながっていたのである。
懲役6月(執行猶予2年)の有罪判決!
炭管事件について、筆者の手元にある70年前の公判記録を改めて読み返してみると、田中は一審の供述では一貫して「受け取った100万円は炭住建築請負契約の前渡金である」と主張している。一方で、「田中土建工業」の専務にして九州出張所長だった入内島金一が、検事の調べに対し、「田中社長から『100万円のワイロをもらったが、どうしたらいいか』と相談された」と供述したり、帳簿の改ざんによる証拠隠滅工作があったことなどが明かされ、田中にとって裁判は、終始、不利に展開していった。
ここに出てくる入内島金一とは、田中の「刎頸の友」のことである。田中と入内島は、田中が15歳で新潟から上京、夜学に通いながら入内島と一つ釜の飯を食いながら小僧生活して以来、終生の友としてきた人物である。
田中は公判の供述でも、「(入内島とは)兄弟以上の親しさを持って付き合ってきた」と発言、入内島の誠実にして責任感の強さに言及したのだった。
東京地裁の一審判決は、裁判がスタートしてから1年後と早く、田中には昭和25(1950)年4月11日、小林健治裁判長により懲役6月(執行猶予2年)の有罪判決を言い渡されたのだった。
小林裁判長(のちに弁護士)は、後日譚として判決の背景、公判中の田中について次のような述懐をしている。要約すると、こうである。
「田中についての争点、問題は大きく二つあった。100万円がワイロにあたるかどうか、国会議員として職務権限があるかどうかだった。
前者について、ぼくは炭住の工事契約自体にワイロ性があると認定した。後者の判断は難しく、判事同士でずいぶん議論をした。通例は、(炭管)法案が提出されたときから、議員の議決権に基づく職務権限が発生する。しかし、この件では、まだ法案が未提出のときからゴタゴタしていたというのが、背景にあった。すなわち、ぼくはある種の法案は出ると予想される時点の判断でいいだろうということで、職務権限ありと認定したものだ。
一方、法廷での田中の印象は、明解にズバリ言わんとすることを主張する男だった。それも横柄なところがなく、端正というべきものだった。田中を含め被告人は全部で7人だったが、マナーは飛び抜けて良かった印象があった。加えて、驚くほど公判記録を読み、研究していることが知れた。例えば、『第何回公判のあの点は?』と聞くと、即座に明解な返答が返ってきた。すべてを熟知したうえで、公判に臨んでいたようだった」(『文藝春秋』平成28年8月臨時増刊号)
東京高裁判決では一転して無罪!
小林裁判長も、田中の超頭脳ぶりには、一目置いていたということである。こうして一審有罪となった田中は直ちに控訴、約1年後の東京高裁判決では、一転して無罪を勝ち取っている。
「被告人、田中角栄の贈収賄に関する公訴書類は、いずれも罪とならないか、または犯罪の証明がないことに帰するものと言わざるを得ない。職務権限についても認定しない。無罪の言い渡しをする」(二審の判決要旨から)
こうした3年弱の法廷闘争の一方で、「塀の中」出身という烙印を押された田中は、政治家としての生き残りに死力を尽くした。
田中の持ち味の一つは、土俵際に詰まったときのエネルギーの集中力、爆発力である。あらゆる危機は、すべからく、これで乗り切ってきている。逮捕されての東京拘置所収監から保釈、大逆風を受けながらの総選挙に立ち向かうその戦いぶりが、それを物語ることになる。
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