(画像)Roman Samborskyi / shutterstock
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大谷翔平“ドジャース移籍”の決定打となる「天風道」信仰

大谷翔平が愛読する昭和の思想家・中村天風の著書『運命を拓く』が日米で話題だ。


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二刀流の成功は、天風の流れを汲む合気道の「氣」の実践にあるという。そんな「氣のエネルギー」をメジャーリーグで唯一、追究しているのがドジャースだ。これにより、大谷の移籍先の本命に浮上した。


満票でア・リーグMVPに輝いたエンゼルスの大谷翔平は帰国した現在、都内にあるタワーマンションと練習場とを往復する束の間のオフを過ごしている。


「最上階にあるメゾネットタイプのタワマンは、2018年春に2億5000万円をキャッシュで払って購入したもので、オフはこの自宅で過ごすことが多い。女性誌やワイドショースタッフは、恋人とされる元バレーボール女子日本代表の狩野舞子とのデートや女子アナなど新たな恋人探しに躍起ですが、浮いた話はとんと伝わってきません」(スポーツ紙記者)


帰国中は岩手に住む母親の加代子さんが上京し、健康面や生活面を管理しているという。本誌が入手した情報によれば、オフを都内の自宅で過ごすのは、崇敬する中村天風(1876~1968年)の教えを受け継ぐ「天風道」を実践し、メンタル、フィジカル両面を磨くのが目的。今季の二刀流成功は、その賜物だ。


「独自の哲学を持つ天風は、どのように生きていけばいいか迷う人に人生の指針となるような言葉や勇気を与えた。欧米人に比べて体力面で劣る日本人が彼らを打ち負かすには、心身を統一する『氣』が大切と説き、独自の呼吸法を確立。その1つが臍下の一点に心をしずめて精神を統一する手法。まず、自らの心を制御して他者の心を導けば宇宙エネルギーとの融合が起こる、と。時代を問わず崇敬者があり、今なお信奉者は多い」(スポーツ紙デスク)


バルチック艦隊を撃破した海軍大将の東郷平八郎、パナソニック創業者の松下幸之助、京セラ創業者の稲盛和夫…ざっと紹介しても、立志伝中の人物たちが天風の人生哲学を実践し成功につなげているのだ。また、晩年の天風から直接指導を受けた球界重鎮の広岡達朗氏は、その教えを野球に取り入れ、王貞治氏の「一本足打法」にも大きな影響を与えたことは有名だ。

花巻東高時代に出会った著書『運命を拓く』

天風の愛弟子にあたる藤平光一氏が氣の原理に基づいた合気道「心身統一合氣道」を創始。広岡氏は西武監督時代にこの合気道を練習に取り入れ、氣の大切さを説き黄金期を築いた。しかし、近年のプロ野球は米国同様に筋力トレーニングが主流になり、氣の価値を忘れてしまった。そこに着目したのが大谷だ。

花巻東高時代、佐々木洋監督の勧めで読書家になった大谷は、その頃に天風の著書『運命を拓く』に出会い、興味を抱いたという。世界最高峰のMLBに飛び込み、投打の二刀流に挑む中で右肘の手術を余儀なくされるなど、思い悩む中で行き着いたのが、天風が説く「氣」だった。


「以前の打者・大谷は、日本の投手より数段速い豪速球や手元で鋭く変化するボールへの対応を急ぐあまり、ボールをしっかり引きつけないまま前さばきして詰まらされる傾向にありました。しかし、臍下の一点に心をしずめることを身につけたことでボールを呼び込み、相手のエネルギーを待ってバットを下からすくい上げ、本塁打と長打を打つための最適の打法を会得したのです」(MLB経験のあるプロ野球解説者)


天風の関連本を読み解く中で、広岡イズムにも共感。今や広岡氏は恩師の佐々木監督、日本ハム前監督の栗山英樹氏とともに師匠的な存在なのだという。オフを東京で過ごすのは、「広岡氏と交流がある天風道の指導者から氣を学ぶため」という情報もある。

DH制がないナ・リーグだが…

天風道への傾倒は、今後の進路にも影響する。

大谷は2023年オフにFA資格を獲得することから、去就についてさまざまな情報が飛び交っている。移籍金の相場は「年俸5000万ドル(約57億円)、複数年契約で、総額4億ドル(約456億円)」とされ、相手は資金力のあるア・リーグのヤンキースとレッドソックスなどに絞られている。


エンゼルスと近いロサンゼルスを本拠地とするドジャースも資金力では負けないが、こちらはDH制がないナ・リーグに所属。これがハンディとなっていたが、大谷の天風道崇敬で大逆転。ドジャースが新たな移籍先の本命に躍り出た。


現行の労使協定は2021年シーズンで失効し、現在、新たな協定を協議中だ。最大テーマの1つが「ユニバーサルDH(両リーグのDH制)」。選手会は以前から投手の怪我対策とDH制に伴う雇用創出目的にナ・リーグでも採用を求めており、コロナ感染症対策として2020年は例外的に採用された。今季は元に戻したが、ア・リーグの大谷が二刀流で脚光を浴びたことでドジャースが旗振り役となり、ナ・リーグのオーナー連中もDH制採用に雪崩を打った。早ければ来季から導入されるという。


「広岡氏の勧めもあり、ドジャースでは藤平氏の後継者である息子の信一氏が3年にわたり『氣』の大切さを教え、その精神が今も受け継がれています。格別の条件でエンゼルスが引き止めない限り、ドジャース移籍の流れは変わらないでしょう」(有力代理人)


現在、ドジャースの監督は沖縄生まれで日本にルーツを持つデーブ・ロバーツ氏で、大谷とはメンタル的に近い。天風道が大谷の進路の鍵を握るようだ。