日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web
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『ヨコスジフエダイ』長崎県/高島産〜日本全国☆釣り行脚

もう20年くらい前になるでしょうか。


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ANA(全日本空輸)で〝どこでも1万円〟的なキャンペーンがありまして、当時はLCCなどもありませんでしたから、「これは破格。せっかくなのでどこか行こう」ということで、友人と長崎に1泊の釣り旅行へ行ったことがありました。というのも、高校生の頃に図書館で目にした軍艦島の写真集が強烈に頭に残っており、何とか軍艦島に行ってみたい、欲を言えば散策がてら島で竿を出してみたいと、思っておりまして…。


ところが、今のようにネットがここまで発達しておらず、情報も手軽に拾える時代ではなかったため、結局、軍艦島には行けず。長崎から帰ってきた後に、軍艦島に渡している渡船屋さん(釣りのための)を知った、ということがありました。もちろん、世界遺産となった今では島から釣りなどはできないでしょうし、勝手な上陸などもできなくなったようです。ただ、そのお陰で観光クルーズ船が就航し、手軽に行けるようになったのは喜ばしいことかと思います。


そして、軍艦島を諦めた代わりに、その時に訪れたのが高島でした。軍艦島同様に、かつて炭鉱で栄えた高島には定期船が就航しており、釣りがてらに散策。島の端から眺める軍艦島の島影に感動したことを覚えています。


ということで今回、長崎に来たこともあり、せっかくなので20年ぶりに高島での釣りを楽しんでみることにしました。朝まだ暗い大波止のフェリー乗り場から、朝イチのフェリーに乗って30分ほどで高島に到着。以前はもう少し賑わいがあり、水槽に生きたマナガツオなどが泳いでいたと記憶していたのですが、今は水槽もなく静かな雰囲気です。船着き場から島を歩くこと10分ほど、目的地の〝高島飛島磯釣り公園〟に到着しました。

あの頃とは違うぜ!

受付を済ませ園内に歩を進めると、平日のためか人影のない桟橋は、かなり沖まで続いており雰囲気は抜群です。以前来た時は「釣り公園なんて…」と若気の至りのヘソ曲がりで、船着き場堤防の先端から竿を出したのですが、今思えば「ここでやればもっと釣れただろうに…」と感じながら先端付近に到着。

日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

早速、仕掛けを投げ入れるとすぐにアタリがあってササノハベラが釣れ上がりました。20年前もササノハベラ地獄に悩まされ、ほぼササノハベラ以外はマトモに釣れず、心が折れたことを思い出します。が、「今回のオレはあの時のオレとは違うぜ!」とすぐに魚を逃がし再投入。ひたすら打ち返しまくれば、何かしらよい魚が釣れるでしょう。この20年で折れない心を手に入れたので、ひたすらササノハベラを釣っては逃がして仕掛けを打ち返します。


投入→オモリ着底→即アタリ→ササノハベラ、これを100万回くらい繰り返すうちに、少しアタリの頻度が減ってきました。「ここからが勝負よ」と置き竿にしますが、釣れるのはササノハベラ。と、そんな中でベラとは違った大きなアタリで竿尻が浮き、すぐに竿を手に取ると、ゴンゴンッ! と力強い手応えが伝わります。ササノハベラではない期待を胸にそのまま巻き上げると、掛かっていたのはヨコスジフエダイ。


「そうよ! こういう九州らしい魚が釣りたかったのよ!」


ヨコスジフエダイ (C)週刊実話Web

この1尾で俄然やる気もみなぎり、その後もササノハベラの猛攻のなか、ヨコスジフエダイを1尾追加。ついでに、これもなかなかに嬉しいオトメベラも1尾釣れ、リベンジ成功! 満足のうちに納竿することとなりました。


日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

帰宅後はヨコスジフエダイを刺身と煮付けに、ついでに持ち帰ったオトメベラも煮付けにして晩酌です。ヨコスジフエダイはそこまで知名度の高い魚ではないものの、市場での流通があり、それなりに値段の付く魚でもありますから当然といいますか美味。刺身、煮付けともに上品でクセのない味わいです。


刺身と煮付け (C)週刊実話Web

そして、オトメベラの煮付けが、その色合いにふさわしくなくこれまた風味がよく旨い! やはりベラ類の煮付けは間違いありませんな。ということは、食べるだけならササノハベラで十分なのでは? ということにもなるのですが…。


ちなみに、今回の高島飛島磯釣り公園ではヒラマサやカンパチ、メジナの大型やハタ類などの大物が狙え、ヨコスジフエダイやらオトメベラなどは、一般的には雑魚的な存在です。リベンジ成功だの満足だのは、あくまでも個人的見解ですのであしからず…。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。