日本維新の会（以下・維新）創設者の橋下徹元大阪市長と同党幹事長代理の足立康史衆院議員のツイッターバトルが、マスコミで大注目された。

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同バトルに自民党幹部は「衆院選での維新大躍進も巧みな戦術があった。今度のバトルも練りに練った戦術の1つだろう。衆院選からバトルまでの一連の動きを見ると、維新が本気で天下取り＆東京制圧に動き出した気配がある」として警戒を強めている。

まずは自民党幹部が警戒する「天下取り、東京制圧」の戦術について維新関係者がこう明かす。

「確かに、衆院選では将来、首都東京にどう勢力を広げるかを相当意識した戦術を取った。というのも、関西は維新の牙城で選挙も勝ってきた。だが、東京は前回2017年衆院選で小池新党『希望の党』と棲み分けし、候補者を立てなかった。これでは、いくら全国政党と言っても誰も国民はついてこない。東京で勝てば、国政も大きく動く。東京でどう勝てるかを夏以前から、かなり検討してきた」

そこで取ったのが、吉村洋文大阪府知事を前面に出すこと。コロナ禍で全国的に知名度がアップしたのを大いに利用し、無党派層の多い全国県庁所在地がある1区に候補者を多数擁立、比例票のアップを狙ったのだ。当然、無党派層が圧倒的に多い東京でも「1区戦術」（小野泰輔衆院議員）を用いたほか、東京25選挙区のうち17選挙区に候補者を擁立した。吉村府知事も都内で街頭に立ち、高齢者や無党派層に訴えた。

東京では女性層を中心に吉村府知事の〝おっかけ〟まで出現。吉村フィーバーが起き、前回衆院選の4.3倍に当たる約86万票を獲得し、比例東京ブロックで2議席を得た。

維新内の内ゲバ…真の狙いは!?

「前回の全国比例獲得票が339万票に対し、今度は805万票で一気に2.4倍も伸びた。自民党1991万票、立憲民主党1149万票に肉薄する3番手の得票数となった。議席は4倍増の41議席で第3党の勢力だ。練りに練った戦略が大当たり。次の戦略を上手く練れば、東京制圧も夢ではない」

維新の次が注目される中、勃発したのが冒頭の橋下VS足立バトルだ。

ここでバトルの経緯を簡単に振り返っておこう。

発端は維新新人議員が在職1日で支払われた文書通信交通滞在費100万円に疑問を呈したこと。橋下氏は維新の一部議員に対し「10月分の文通費、秘書給与を丸々もらっていた」「維新国会議員団が大阪維新の看板を汚す」などとバッサリ斬り捨てた。

これに足立議員が「コメンテーターの筋違いの批判」「このコメンテーターの限界は国政を知らないこと」とツイッターに投稿、橋下氏が激怒し、「足立議員は維新から退場すべき」と猛批判。さらに、橋下氏は維新の2020年度政策活動費4497万円の透明性にも言及している。

いわば、維新内の内ゲバだが、真の狙いは何か。

「実は、小池都知事の体調を意識してのものだ」（維新関係者）

この維新関係者によれば、小池百合子都知事が今年に入り二度入院、電撃辞任のウワサが流れたことに連動しているという。

「東京維新の会の最高顧問で共同代表に指名された馬場伸幸幹事長が衆院選後、一部メディアに『チャンスがあれば都知事を取りにいく』と発言しているように、維新では首都東京を押さえれば、その先の国政選挙でさらに躍進し、天下取りが見えてくるという思いは以前から強い。候補者は知名度があり、確実に勝てる橋下氏しかいないのが現状」（同）

来夏の参院選で一大旋風を巻き起こすシナリオ

橋下氏は安倍政権下での森友学園問題など数々の疑惑と対峙してきたように、身内である維新の不祥事にも敢然と斬り込む姿勢を崩していない。その歯に衣着せぬ物言いは大阪府民だけでなく、都民からも支持されている。「それが突然起きた橋下VS足立バトルの正体」（同）だという。

別の橋下シンパ維新議員がこう言及する。

「維新と小池都知事の関係は良好です。17年衆院選でタイアップしたほどの仲だ。小池都知事が緊急辞任するなら、橋下氏に後継者のお墨付きを与える可能性は極めて高い」

維新と小池都知事の間では、もう1つのストーリーが見え隠れする。来夏に行われる参院選に向け、再び小池都知事とタッグを組み、一大旋風を巻き起こすシナリオだ。それを暗示する動きもある。17年衆院選で小池新党に馳せ参じ、今も小池都知事と蜜月関係にある玉木雄一郎代表率いる国民民主党の動向だ。

「両党合わせれば、衆院で52議席、参院でも25議席以上ある。予算を伴う法案も提出可能で、存在感を示すことができる。加えて、国民民主党には連合という支持母体がある。連合は今度の衆院選で天敵の共産党と組んだ立憲民主党に猛反発した。国民民主党が維新と組めば、連合は維新・国民民主を応援するはず。維新も全国組織の連合の協力が得られれば、都知事選や国政でも大きな力となり、政界再編につながるでしょう」（政界消息筋）

橋下氏の政界復帰は現実味を帯びつつある。