日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web
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『シロギス』長崎県/浦上川河口産~日本全国☆釣り行脚

長崎県は浦上川河口にてブッ込み釣りでクロダイ、スズキを狙った前回。本命は釣れませんでしたが、食べ頃サイズのマダイが釣れて、結果オーライといったところでした。


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欲張りなワタクシとしては「もう1尾」と仕掛けを打ち返しますが、さすがにそうは問屋が卸さないようで、しばらくするとざわついていた海面が穏やかになり、〝釣れそうな気配〟が薄らいでしまいました。


こういう時は下手に粘らず、釣り方とターゲットをガラッと変えてしまうのも1つの手です。夜更けというにはまだ全然早い時間帯ですし、もうちょっと長崎の夜を楽しみたいと思います。


投げ込んであるブッ込みの竿はそのままにして、安物のセット竿を取り出し、市販のメバル用胴突仕掛けをセット。岸壁の際を探ってみることにします。どちらかというと回遊待ちの釣り方であるブッ込み釣りに対して、ヘチ(護岸際)の探り釣りは、魚の付き場を直接狙うため、よほど状況が悪くない限りは何かしらの魚が遊んでくれることも多いんですな。


早速、仕掛けにエサのアオイソメを付けて、足下の岸壁直下に仕掛けを落とします。水深はおよそ3~4メートルほどといったところで、これなら十分勝負になる深さです。オモリを通して竿に伝わる感触から、岩礁や捨て石の類いはあまり入っておらず、足下から砂泥底のようです。であるならば、なおさら期待大。変化のない底質が広がる中で護岸の壁というのは絶好の隠れ家やエサ場となりうるハズ。


と、ほどなくアタリが出て、こういったヘチの探り釣りでは定番とも言えるカサゴがヒット。15センチほどの小型ゆえリリースし、エサを付け替えて再び足下を探って行きます。長崎の夜はまだまだ楽しめそうですぞ。

意外な人気魚で少々ビックリ

時折、オモリで底の感触を確かめながら竿を片手にゆっくり歩いていると、クン! と明確なアタリが伝わりました。そぉ~っと、竿先を下げてオモリを底に付け、糸を弛ませてアタリを待つと、スーッ! と竿先が引き込まれ、軽く竿を煽ると、キュキュンッ! と鋭い引き。

小型のタイ類でも掛かったか? と上げた仕掛けに付いていたのは、なんとシロギスです。しかも良型。陸からでは投げ釣りで狙うシロギスが、足下の探り釣り、それもメバル用の胴突仕掛けでヒットしたことに少々驚きつつ、ハリを外してクーラーボックスへ。


シロギス (C)週刊実話Web

「まあ、時にはこんな偶然もあるんだなぁ」などと、探るうちに再び同じようなアタリが。そして鋭く小気味よい手応えでヒットしたのは、またしても良型のシロギス! どうやら偶然ではないようです。ここでシロギス狙いに適したチョイ投げに作戦変更…しないところがワタクシです。だって、仕掛けを変えるのは面倒臭いんですもの。


投げ込んであるブッ込み竿などはもうどうでもよくなり、岸壁をねちっこく探り歩くと、ポツポツとシロギスがヒット。見た目にも美しく、小物ながらに引きが鋭い魚として人気のあるシロギス、まして型がよいので軟調の安物竿での釣りはかなり楽しいものがあります。ざっと10尾は釣れたでしょうか。

釣りを通じて人とふれあう

ひとしきり楽しんで、そろそろ竿を畳もうかというところで「こりゃ太かキスゴかねぇ」と、いきなり後ろから声を掛けられてビックリ。釣りに夢中で全く気が付きませんでした。釣り場のすぐ後ろにあるパチンコ屋帰りのオッサンのようで、先ほどからしばらく見ていたとのことです。

「そがん釣り方でキスゴが釣れるとね?」とちょっと驚いた様子。「いや、自分もこの釣り方でキスが狙って釣れるとは思いませんでした」と、2人でビックリ。知らぬ土地で初対面のオッサン同士、釣り談議となると抵抗なく話せるというのも、釣りの不思議な魅力かもしれません。


夜も更け、マダイにシロギスと十分に長崎の夜を満喫できたことから道具を片付け、深夜まで営業している繁華街の中華屋さんのチャンポンで、腹を満たして帰路に就くこととします。


シロギスといえば天ぷらがメジャーな食べ方ですが、今回は型がよいので、せっかくですから刺身と焼霜造りで晩酌といきましょう。米焼酎〝長崎っ子〟をクイッとやりつつ刺身をパクリ。スッキリとした米焼酎の香りが、淡白で上品な白身の刺身にほのかな甘味を感じさせてくれます。焼霜造りは皮目の香ばしさに加えて白身魚の旨味がしっかり感じられ、これまた焼酎が進みます。


シロギズノ刺身、焼霜造り (C)週刊実話Web

 


県庁からもほど近い街中の河口で、マダイやら型のよいシロギスが釣れる長崎。思った以上にお手軽で、何とも魅力的な釣り場と街だったので、是非また再訪したいところです。雨でも橋の下で竿が出せますし…。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。