島田洋七 (C)週刊実話Web
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おぼん・こぼん“水ダウ企画”の真相〜島田洋七『お笑い“がばい”交遊録』

『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で2週連続で放送された〝仲の悪い〟おぼん・こぼんを仲直りさせる企画は久々に感動したね。


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先日には、放送批評懇談会選定の『2021年10月度ギャラクシー賞月間賞』を見事に受賞。見終わってからも涙が止まらなかったですよ。俺もインタビューで登場して、そのコメントがネットで話題になったみたいですね。『お笑いスター誕生!!』の初代王者が俺らで、おぼん・こぼんは二代目だったから、昔からの知り合いなんです。


まだコロナ禍の前、おぼんちゃんから電話が掛かってきた。俺は福岡の放送局から佐賀の自宅へ戻っている途中だったんです。なんでも、おぼん・こぼんが佐賀に営業に来ているというから会場へ寄せてもらいました。すると、無理やり舞台に出ることになってしまってね。10分ほど、がばいばあちゃんのエピソードで笑わせましたよ。


舞台が終わって2人が俺の家に来て、昔話に花を咲かせたけど、2人とも仲が悪い素振りは一切見せなかったね。後で聞くと、人前だと普通に話すらしいけど、2人っきりになると険悪になるみたい。


半年後、おぼんちゃんから電話があって、「洋ちゃん、ダウンタウンの番組で俺らが仲悪いという企画をやるみたいやけど、どう思う?」と相談されたんです。アイドルだと仲の悪いことはマイナスイメージになるかもしれないけど、お笑いだからいいんじゃないかと。70歳をすぎた芸人がダウンタウンのゴールデンタイムの番組に出演するチャンスは、滅多にないからね。

B&Bの“仲悪”企画を依頼され…

そうしたら、俺のところにもインタビューしたいという依頼が来て、コメントをしたのよ。でも、一向に放送されないからお蔵入りになったのかなと思っていたら、放送される数日前にTBSとおぼんちゃんから連絡があって、1時間丸々おぼん・こぼん特集を2週連続で放送するというから驚いたね。NHKの『ファミリーヒストリー』だって1週だけなのにね。

番組では最終的に仲直りしたけど、あそこまで仲が悪いとは思わなかった。漫才の時は舞台の中央にセンターマイクが置いてあるでしょ。結局、おぼんちゃんとこぼんちゃんをあれが繋げていたんじゃないかな。センターマイクがあるから芸もできるし、生活もできる。そして、お客さんも喜んでくれる。漫才師は夫婦でも友達でもない。喧嘩をすることはありますよ。


番組で2人が「もう辞めたるわ」と部屋を出て行くシーンがあったでしょ。でもね、辞めたら二度と芸ができなくなってしまうというのは数歩の間で気がつくんです。同じ漫才師だからよく分かる。お互い意地張ってるなと思いましたよ。


感動に浸っていると、3日後にある番組制作会社から俺の事務所に電話があった。ちょうど事務所にいたから電話に出ると、「まだ企画段階なんですけど、B&Bさんも仲が悪いということで企画を立ててもいいですか?」と話すから「二番煎じもエエとこやないか。一般の人は仲が悪いと思うかもしれんけど、業界では仲良いってバレるで」と説教してやりましたよ。


15分後、また電話があり「仲が良いという企画はどうでしょうか?」。「仲が良ければそれでエエやん。そんなの誰が見るの?」。おぼんちゃんにそのことを話したら爆笑してましたね。
島田洋七 1950年広島県生まれ。漫才コンビ『B&B』として80年代の漫才ブームの先駆者となる。著書『佐賀のがばいばあちゃん』は国内販売でシリーズ1000万部超。現在はタレントとしての活動の傍ら、講演・執筆活動にも精力的に取り組んでいる。