「日本ではナマコは酢の物や酒のツマミとして知られていますが、一般家庭ではほとんど食さない。
しかし、中国ではナマコが重宝されている。特に、日本産の天然ものは人気があり、『海の黒いダイヤ』として高値で取引されています」(都内の中国料理店料理長)
ナマコの年間輸出額は2013年以降、約200億円前後を維持。昨年は1月から8月までが111億2000万円で、前年同期比0.4%増で推移している。
「輸出先の8割は香港で、大半は中国本土に流れています」(農水省関係者)
なぜ、中国でナマコが好まれるのか。海から水揚げされたナマコを乾燥させた〝干しナマコ〟は、中国で〝海参〟と呼ばれている。名前の由来は〝海の朝鮮人参〟。ナマコと朝鮮人参はサポニンという成分を含んでおり、健康増進や美容面で効果がある。
「中国では干しナマコを中国料理の高級食材として使う一方、健康食品や石鹸などにも使用しているほど」(フードアナリスト)
年間生産量は50年余で半減以下…
日本のナマコの年間生産量は1968年に全国で1万3000トンあったが、昨年は6100トン。内訳は北海道2300トン、青森800トン、山口500トン…。ナマコも地球温暖化によって減少しているのだ。
「最大の産地の北海道では、十勝、釧路を除くほぼ全域に分布している。中でも道南、檜山地域で漁獲され、加工された干しナマコの『檜山海参』は、質がいいと人気です」(漁業情報センター関係者)
中国最大のアリババ傘下のショッピングサイト『淘宝網』で海参を検索すると、600件以上のナマコ商品が表示され、日本野生海参は500グラム約14万円と、破格の値段で売られていた。
「道東の太平洋沿岸を中心に発生している赤潮の影響は深刻で、ナマコやつぶ貝は合わせて最大90億円程度の被害が出ている。ただでさえナマコは、暴力団の資金源として密漁が絶えない。昨年12月から罰則を強化したにもかかわらず、今年も大量のナマコを密漁した暴力団員が逮捕されている」(捜査関係者)
さらに値上がり必至。
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