蝶野正洋 (C)週刊実話Web 
蝶野正洋 (C)週刊実話Web 

蝶野正洋『黒の履歴書』~ワースト茨城県“大使”の俺が思う「都道府県ランキング」

今年も発表された「都道府県魅力度ランキング」が、物議を醸している。


【関連】蝶野正洋『黒の履歴書』~人間関係が独特なプロレス界 ほか

47都道府県中、44位にランクインした群馬県の山本一太知事が「根拠の乏しいデータで、群馬を低く位置づけるのは県民を侮辱していることになる」と述べ、「法的措置も検討している」と発言した。


まぁ、怒る気持ちも分からなくはない。


俺が「いばらき大使」を務めさせてもらっている茨城県は、この魅力度ランキングで一昨年まで7年連続の最下位。去年は栃木県にその座を奪われたんだけど、今年は定位置のワースト1に返り咲いた。


「いばらき大使」としての活動を通じて、茨城県の魅力を知っている俺としては、納得のいかない順位だ。


茨城は大洗をはじめ、筑波山、つくば未来都市、鹿島神宮、水戸の偕楽園など魅力的な観光スポットがたくさんある。それに、なんといっても食材王国。野菜、果物、肉、魚介類と、美味しいものがなんでもそろっていて、本当に素晴らしい所なんだよ。


でも、茨城の人たちはシャレが分かるというか、この魅力度ワースト1にこだわりを持っていて、「いやー、うちなんて最下位ですから」と、笑って話題にしている。県も率先して「茨城県 魅力度最下位の過ごし方」という冊子を発行しているくらいだからね。


確かに、このランキングではワーストを取ったほうが美味しいかもしれない。トップ3は1位・北海道、2位・京都府、3位・沖縄県だけど、これらの県がいまさら「魅力度トップ3に食い込みました!」と宣伝しても、あまり意味がないだろうからね。

「知名度ランキング」にすれば誰も怒らない

そもそも、この「都道府県魅力度ランキング」というのは、ブランド総合研究所という会社が発表してるもので、基本的にはネットでのアンケート調査を基に集計しているらしい。

だから、もともと有名な観光地がある都道府県にポイントがつきやすいだけなんだよ。それを「魅力度」って言うから文句をつけたくなるんであって、普通に「知名度ランキング」にすれば、誰も怒らない。


とはいえ、日本人はランキングが好きだからね。俺も同じような商品が並んでいるところに「これが1位です」って書いてあったら、こっちの方がいいのかなって思ってしまう。


ただ、そのランキングの根拠までは深く考えない。適当なものでも信じてしまう。それに最近は「クチコミ」というのも増えていて、これはユーザーの意見だから正しいだろうと思いがちだけど、あれも仕込みがあるみたいだからね。冷静に考えれば、ランキングもクチコミも、どこの誰が決めたことなのか分からないまま、影響を受けてるんだよ。


では、こうしたランキングはなんのためにあるのかというと、下位になった所に「こうすれば次はランクが上がりますよ」と近づいてくるコンサルタントがいるんだよ。ランキングを基準にしたマッチポンプのようなビジネスだよね。


俺の会社でもランキングを作ろうかな。「オヤジの好きな週刊誌ランキング」を決めて、それで『週刊実話』をビリから2番目くらいにする。そのあと編集部に乗り込んで、「ランクアップさせるには、蝶野を表紙にしたほうがいいですね」ってコンサルしてやるよ(笑)。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。