日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web
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『カワムツ』長崎県/中島川産〜日本全国☆釣り行脚

夜釣りでスズキ、あわよくばクロダイ、キビレなんぞを狙った前回。クロダイはさておき、スズキに関しては、実績十分と言える東京都の豊洲エリアだっただけにハズレはないと臨んだものの、終わってみればサバ祭りという結果でした。


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もちろん、サバだって面白かったので結果オーライなのですが、秋の夜長に夜釣りで、スズキやクロダイなどとじっくり対峙したいという欲求は失せず、今回は長崎県の浦上川河口で竿を出してみようと。こちらも港湾に流れ込む河口域ということで、スズキやらクロダイやらの魚影が濃い釣り場ゆえ、期待は十分。せめてスズキ、クロダイのどちらかは釣り上げたいところです。


長崎市内に到着したのはお昼過ぎ。中華街で昼飯を済ませ、すぐ近くの大型釣具店にてエサと仕掛けを仕入れて準備万端です。今日は日没前後に満潮を迎える、まさに夜釣り日和な潮回り。とはいえ夜釣りには、まだちょっと早い時間です。ここは焦らず、たまには釣りを忘れて観光を楽しむことにしましょう。


眼鏡橋 (C)週刊実話Web

重たい釣り道具が少々邪魔ではありますが、せっかくなので街中を行き交う市電に乗り込み〝めがね橋〟電停で下車。1634年に架けられた現存最古の石橋といわれる眼鏡橋は、国の重要文化財にも指定されているだけあり、実際に間近で見ると歴史を感じさせるものです。さらに、中島川石橋群と呼ばれるいくつもの石橋が架けられている川沿いの遊歩道を歩いてみると、これがまた下から見上げる石橋群というのがなんとも趣のあるいい雰囲気です。「釣りばかりではなく、観光もイイもんだねぇ」などと散策を楽しみつつ、ふと川面に目をやると、澄んだ流れの中に泳ぐ小魚の姿が見て取れました。

観光で来たのに悪いクセが…

「あら、魚がいるじゃないの。しかも放流鯉とかではない、ちゃんとした川魚が。たしか渓流竿と袖針は予備で持ってたよな。エサは…コンビニで蒸しパンを買えばいいか」

魚を見たら釣りたくなってしまうのは、もう病気なので仕方ありません。コンビニへと走り、蒸しパンを購入。道具箱の中から有り合わせの物で簡単な仕掛けを作り、蒸しパンを鼻クソくらいの大きさに丸めてハリに付け仕掛けを流してみます。


日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

浅く澄んだ流れに沈みながら流される黄色い蒸しパン。と、蒸しパンが流れとは逆方向にスーッと動き、フッ!と消えました。反射的に軽く竿を煽ると、プルプルッと手応えがあって釣れたのは小さなカワムツです。こりゃ面白い。これよりも大きな魚影もあり、サイズアップを狙って再び仕掛けを投入。スッスーッ→フッ→プルプルッで一丁上がりです。


日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

浅い流れのせいか、1~2尾釣るとアタリが遠くなるので、歩きながら転々と仕掛けを流していきます。こうなると、もう観光どころではありませんな。


そうして何尾かカワムツを釣るうちに、フッ!と消えた蒸しパンを確認して合わせると、ひときわキラキラと青白い小魚が釣れました。てっきりカワムツ1種のみかと思っていたのですが、青白い輝きで釣れたのはオイカワです。観光地ということで釣りでは取り上げられない中島川も、どうしてどうして、川の小物釣りが楽しめる面白い川じゃないですか。

素朴な川魚も旨い肴に!

ある程度楽しんだこともあり、ボチボチ終わろうかと歩くうちに良さげな淀みが目に入りました。「ここで最後にしよう」と蒸しパンを流してみると、エサに向かって魚影が走り、蒸しパンが消えました。手首を返すとブルルッと小気味良い手応えで、まずまずのサイズのカワムツです。これは切りがなくなるパターンですな。といっても、夜釣りの時合いを逃してしまっては本末転倒なので、後ろ髪を引かれつつ納竿となりました。

カワムツとオイカワは素揚げにして晩酌の肴にします。この手のいわゆる里川の雑魚は、一般的には食べられることもあまりありませんが…揚げたてを一口。サクサクで川魚らしい風味はビールとの相性もまずまずです。ちなみに、釣れた時は大きい方が嬉しいものの、食べる段になると小さい物の方が頭や骨が当たらず食感良く旨いという…。


ということで、素朴な川の雑魚釣りではありましたが、歴史を感じさせる石垣や石橋に囲まれて竿を出すというのは、何とも趣のあるものでありました。


カワムツとオイカワの素揚げ (C)週刊実話Web

あ、浦上川河口での夜釣りのクロダイ、スズキ狙いは次回にてということで…すみません。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。