海底噴火の影響がこれほど大きくなるとは…。
8月13日、小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」で噴火が発生した。産業技術総合研究所などの分析によると、明治以降における国内の火山噴火としては、最大クラスの規模だという。
噴火から2カ月近くたった10月4日、沖縄県の北大東島の海岸に、噴火で噴出したとみられる大量の軽石が流れ着いた。
その後も同月10日には鹿児島県の喜界島、15日には鹿児島県の奄美大島でも軽石が確認された。
科学ライターが言う。
「沖縄本島や南西諸島の沿岸は軽石で埋め尽くされ、住民が手作業で除去しているが、まったく追いついていません。巡視艇の配管に軽石が詰まり、航行不能になる被害も出ています」
沖縄本島北部の辺土名漁港では、養殖していたサバの仲間「グルクマ」が150匹以上も死んだ。餌と間違え軽石を飲み込んだらしい。
住民のマンパワーでは限界が…
軽石による「海の汚染」はどんどん広がり、関東にも接近しつつある。本州沿岸には原子力発電所もあり、タンカーなどの大型船舶も数多く航行している。
防災ジャーナリストの渡辺実氏が言う。
「災害対策基本法を発動することです。港に流れ込んだ軽石は外に出ていかないし、住民のマンパワーでは限界がある。一刻も早く自衛隊に除去してもらうことが必要です」
軽石は黒潮の流れに乗って本州に接近するとみられており、まずは静岡県の浜岡原発が心配だ。
「監視を怠るべきではありませんが、原発の取水設備にはフィルターが付いており、二重、三重に不純物が入らない対策を施してある。大丈夫だと思います」(前出・渡辺氏)
今後、フェリーや高速船などの海上交通や、観光業、漁業などにも影響が及ぶ恐れがあり、専門家は対策の必要性を指摘している。
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