エンタメ

蝶野正洋『黒の履歴書』~たばこの値上げと喫煙者の変化

蝶野正洋
蝶野正洋 (C)実話Web

新型コロナウイルス蔓延によって仕事がうまく回らず、経済的に苦しくなっているという人も多い。さらにこの秋からさまざまな商品やサービスの値上げや増税があって、ますます市民の生活を圧迫しそうだ。

「第3のビール」が税制改革で価格改定になるそうだけど、俺にとってダイレクトに影響があるのはたばこの値上げ。10月1日から、俺が吸ってる「アメリカンスピリット」も40円値上がりしてしまった。

最近はたばこが吸える場所も少なくなったし、これを機に禁煙しようと思っている人も多いんじゃないか。

一方で、喫煙所内を見回すと、たばこを吸っている若い女性が増えたと感じていた。ただ、たまたまJT(日本たばこ産業株式会社)の人に会う機会があって、その時に「最近、若い女性の喫煙者が増えてますよね」なんて話をしたら、「女性の喫煙者数そのものは変わってないんです」ということだった。たばこを吸う男性が減ったから、そのぶん、女性が多く見えるだけみたいだね。

確かに俺のまわりのおじさん連中は禁煙したり、電子たばこに切り替える人が増えている。俺も電子たばこに替えたことはあるが、合わなかったな。吸いごたえがないし、俺に言わせりゃあれはたばこじゃないね。

俺はずっと紙巻きの「アメリカンスピリット」を吸っている。味や香りを加えてなくて、ナチュラルな風味がするところが気に入ってる。これにしてから他のたばこを吸うと、巻きが薄いというか、3回くらい吸ったら終わりみたいな感覚になるんだよ。「アメリカンスピリット」は葉が詰まっていて、1本吸うのに5分ぐらいかかるから、いまの喫煙状況には向いてるのかなって思うよ。

大人の男の嗜みといえば「酒と女とたばこ」…

なにせ喫煙所が少ないから、たばこを吸うこと自体が希少な機会になってしまった。昔は空いた時間にちょっと一服って感覚だったけど、いまはちゃんと喫煙のための時間と場所を確保しなきゃいけないから、そのぶん、落ち着いて1本をゆっくり味わって吸うようになったよね。

喫煙所を探すのは大変だから、俺はもっぱら自分の部屋とか、車の中で吸うことが多い。車の中なら誰にも迷惑をかけないから、俺にとってはもう「移動喫煙所」みたいなもんだよ(笑)。

逆に昔みたいにどこでも吸えると本数も増えるから、健康的にも、経済的にもいまの状態のほうがいいかもしれないよね。

俺は酒をあまり飲まないから、嗜好品はたばこくらい。体に悪いっていうけど、これをやめちゃうと逆にストレスが溜まって、健康に悪影響を与えるんじゃないかと思ってる。だから、いろいろ言う人はいるけど、たばこくらいは自由に吸わせてほしいよね。

俺たちの世代にとって、大人の男の嗜みといえば、「酒と女とたばこ」というのがセットだった。でも、いまは全部ダメって雰囲気だからね。日本は少子化で子どもが少なくなったっていうけど、俺たちが若い頃にイメージしていた大人もいなくなったってことだよ。

たばこは「労働者階級のシンボル」みたいなイメージだったけど、そのうち時間と場所と金に余裕がある人しか吸えなくなる。今後は「喫煙者」というのが、ある種のステータスになっていくかもしれないな。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

あわせて読みたい