アウトロー

六代目山口組“菱統合へトドメの一撃”! 最終戦略の全容

(C)週刊実話Web

「六代目山口組(司忍組長)の上層部が、年内の分裂終結を目指しているのは間違いない。これまで神戸山口組(井上邦雄組長)の勢力に影響を与え続けてきただけに、どう終わらせるかの算段もできているのではないか」(業界ジャーナリスト)

山口組の分裂から6年以上が経過し、〝指揮官〟である髙山清司若頭の出所からも約2年が経った。年内終結を目指す理由は、ヤクザ業界の正常化が第一と思われるが、それ以上に対立がもたらしたデメリットは大きいといえる。

「神戸山口組の発足によって親戚・友好団体のバランスが崩れ、ヤクザ業界が保ってきた平和共存路線にも異変が生じた。対立の当事者である六代目側と神戸側は、双方から多くの逮捕者が出た上に、特定抗争指定という山口組史上初の厳しい規制が掛けられている。警戒区域に定められた兵庫県神戸市の総本部が使用禁止となっただけでなく、司六代目の住居があるとされる愛知県名古屋市内などでも、組員5人以上の集結が禁止された。拠点を失うのと同時に身動きが取りづらくなり、警備上の問題も出ているだろう」(同)

六代目山口組では総本部への出入りが禁じられて以降、月1回行われていた全直参揃っての定例会を中止。最高幹部による執行部会と各ブロックでの会合に終始し、直参が一堂に会す機会は年末に開かれる納会のみとなった。

「ある意味〝リモート化〟したといえるが、髙山若頭としては親分に不自由をさせている現状を打破したい、という考えがあるはずだ。それには、抗争の終結と菱の統合が不可欠だ」(同)

加えて、ヤクザ業界で何よりも重んじられる面子の問題もあるという。

「山一抗争では、本家に牙を剥いた一和会・山本広会長が謝罪、引退することで終止符が打たれた。今回の分裂にしても、日本最大の組織を率いる業界のドンたる司六代目の立場を鑑みれば、何らかのケジメをつけない限り終わらないだろう。そのために、時間が掛かっているのではないか」(同)

うかがえた実行犯らの“覚悟”

抗争の激化を受けて、昨年1月7日に両山口組は「特定抗争指定暴力団」に定められた。抗争抑止が目的であり、警察当局も警戒を続けてきたが、あろうことか警戒区域内でも事件が相次いで発生した。

昨年11月には、神戸山口組・仲村石松若頭補佐(三代目古川組組長=兵庫尼崎)らが尼崎市内の路上で銃撃され、報復とみられる発砲事件も発生。直近では、今年8月に神戸市内にある神戸側・山健組の與則和若頭が、何者かに銃撃されて軽傷を負った。

與若頭が狙われたのは二度目であり、一昨年4月の刺傷事件では三代目弘道会(竹内照明会長=愛知)系組員らが逮捕された。銃撃事件に関しては捜査が進められているが、関係者からは「さらなる警告だ」とする声も多く上がったのだ。

また、神戸山口組トップの井上組長に対しても、六代目山口組は〝プレッシャー〟を掛けてきた。約4年前となる平成29年6月には、兵庫県内にある井上組長の別宅に、四代目倉本組(津田力組長=和歌山)系組長らが発砲。当時、井上組長は勾留中で不在だったが、弾丸は門から距離のある建物にも当たっており、実行犯らの覚悟がうかがえた。

「裁判では『神戸山口組トップの別宅で音を鳴らすことに意味があった』と、傘下組長の一人が狙った理由を明かしとったで。井上組長が不在なのは承知の上で、警告が目的やったんとちゃうか」(地元記者)

さらに、一昨年11月に古川恵一幹部射殺事件を引き起こした二代目竹中組(安東美樹組長=兵庫姫路)の朝比奈久徳元組員は、犯行前に井上組長の周辺も探っていたと供述した。

「直接、危害を加えようとしたんは初めてのケースやった。警備がきつい、いうんで断念しとるが、もし実行されとったら戦局が変わっとったはずや。他にも、神戸山口組の主要人物に当たりを付けとって、犬の散歩しとる直系組長とすれ違ったりもしたと、裁判で話しとった。六代目山口組からは複数のヒットマンが出とるから、こういった行動は朝比奈元組員に限った話ではないのかもしれん」(同)

分裂問題が大詰めを迎えたといわれる今、再びヒットマンが出現する可能性もゼロではないのだ。

親戚団体との関係復旧を進める六代目側

武力行使による終結が囁かれる一方で、六代目山口組は政治的な戦略も展開してきた。分裂によって六代目寄りと神戸寄りに分かれた親戚団体との、関係復旧を押し進めたのだ。

他団体の中で、最も山口組分裂の煽りを受けたのは六代目会津小鉄会だった。同じ七代目を名乗って六代目派と神戸派に分裂し、本拠地の京都は混乱に陥った。だが、今年1月に金子利典会長をトップとする七代目会津小鉄会の一本化が正式決定。髙山若頭が後見人に就いたことで、六代目山口組の親戚団体に戻ったのだ。

「これが意味するところは、神戸山口組との関係解消であり、他団体との親交を希薄にしていく目的が、六代目山口組にはあったと思われる」(山口組ウオッチャー)

その戦略は他にも水面下で進められており、先代が井上組長と親交の深かった十代目酒梅組(木下政秀組長=大阪)も、森尾卯太男本部長(大同会会長=鳥取)が後見するに至った。

特別な関係にあるといわれる稲川会(内堀和也会長=東京)は、分裂直後から六代目側を支持しており、髙山若頭も出所後すぐに清田次郎総裁のもとを訪問。団結が再確認され、両者間のやりとりも頻繁にある。

関東最大組織である住吉会(関功代表、小川修司会長=東京)との関係強化も顕著で、関代表の会長時代には司六代目への個人的な挨拶が行われていた。住吉会が小川会長体制になって以降も、六代目山口組の最高幹部らが祝いに駆け付けるなどし、両者の良好な関係が見て取れた。

神戸側の資金源に影響…

「こうした〝外交戦略〟は、少なからず神戸側の体制にじわじわと影響を与える可能性がある。ヤクザ業界内での立ち位置はもちろん、シノギも無関係ではない。持久戦の様相を呈する中で、神戸側の資金源に異変を生じさせようとしたとも考えられる」(同)

実際、神戸山口組勢の中では、山口組の分裂によって六代目寄りの他団体から付き合いを断たれ、地元での活動が難しくなったというケースもある。

武力行使や〝切り崩し〟、さらに政治的な攻勢が行われてきたが、分裂問題を見守るある他団体幹部からは、年内終結について懐疑的な声も上がっている。

「残された時間はあと2カ月。もし急展開を迎えるとしたら、それは井上組長の意志に変化があったときだ。だが、現実的には難しいのではないか。これまでにも神戸側の直系組長が複数人、引退したが、井上組長は組織を存続させ、反名古屋の旗色を変えていない。分裂を終わらせるにしても、ゼロか100かの結末を目指す六代目側とでは、だいぶ温度差があるように見える」

六代目山口組の矛先は、独立組織として活動を続ける池田組(池田孝志組長=岡山)や絆會(織田絆誠会長)にも向くといわれる。10月19日には、その池田組との対立事件によって、組織犯罪処罰法違反(殺人未遂)の容疑で逮捕されていた六代目山口組・生野靖道若頭補佐(四代目石井一家総長=大分)ら7人が処分保留で釈放。石井一家の最高幹部1人が、殺人未遂の罪で起訴された。

五代目山健組(中田浩司組長=兵庫神戸)が復帰を果たしたとはいえ、なお四派乱立が続く山口組の分裂問題。六代目山口組が水面下で描く、〝トドメの一撃〟とは果たして――。

あわせて読みたい