企業経済深層レポート (C)週刊実話Web
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犬猫に続く人気ペット! 空前のメダカブームが到来~企業経済深層レポート

近年、メダカの飼育がブームとなっている。メダカ関連のビジネスや副業が活発化し、将来的な市場形成への期待も高まる。


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メダカ飼育業の関係者が、まずブームの経緯について語ってくれた。


「ブームが起きた理由は、飼育が簡単なことと、その愛くるしい姿にある。新型コロナ禍で巣ごもりが続く中、心を癒やす観賞用として、若者や女性に人気を呼んでいます」


飼育が簡単とは、どの程度なのか。


「まず元手の資金が安価で済みます。予算は普通のメダカなら数千円あれば十分でしょう。また、メダカは2~3年の寿命で、成長しても4センチ前後。15センチほどの簡易水槽があれば飼育が可能で、水槽代を抑えられるばかりか、場所も取りません。メダカは環境への対応能力が高く、基本的には塩素成分のカルキを除いた水道水と、簡単な入れ物があればOKです」(同)


なるほど、熱帯魚のような水槽用ヒーターも不要なので、今までまったく魚を飼ったことがない人でも、飼育ができそうだ。


また、芸能人にもメダカの輪が広がっており、各メディアで取り上げられる機会が増えた。風吹ジュンは約1000匹のメダカを飼育し、仲間由紀恵と田中哲司は、夫婦でメダカ愛好家であることが知られている。


そして、決定的だったのは今年2月に、キムタクこと木村拓哉が『幹之』という品種のメダカを40匹飼い始め、SNSで公開したことだ。さらにキムタクは、アクアリウム(水生生物を飼う飼育設備)づくりに熱中しているという。

飼育世帯は犬や猫に続く第3位

「ペットフード協会の『令和元年 全国犬猫飼育実態調査』(2019年10月/インターネット調査)によれば、この10年間にメダカを飼育した世帯は約3.5%だったという。日本の世帯概算からすると、全国では約200万世帯に達するとみられ、これは犬や猫に続く第3位となります」(同)

ビジネス促進に関わる市場規模はどうなのか。経営コンサルタントが言う。


「19年のペット市場は関連を含めると約1兆5000億円で、大半は犬猫です。メダカは犬猫の飼育人口の6分の1程度ですが、正式な市場規模を把握できていません。おそらく数十億円の規模でしょう。このブームで拡大していますが、まだニッチ(隙間)産業というイメージです」


では、具体的にメダカ関連ビジネスは、どう動いているのか。


ビジネスとするには、まずメダカを繁殖させて、それを愛好家に販売することが基本。繁殖させるのは飼育同様、さほど難しくはないという。メダカ販売業の関係者に聞いた。


「春から夏の終わり頃の暖かい時期に、オスとメスを同じ水槽で飼って受精させます。メスは受精した卵を水草などに、ほぼ毎日のように産み続け、産み付けられた卵は、そのままにしておくと親が食べてしまうので、水草ごと別の水槽などに移して隔離します」


そうすると半月ほどで卵がふ化し、メダカの赤ちゃんが誕生するという。だが、ようやく繁殖に成功しても、1匹数十円ではビジネスとは言えない。

1匹100万円で取引される高級メダカも!

「親となるメダカの外見や組み合わせにより、他の個体と異なる特徴を持ったメダカを生み出せるかがポイント。例えば、キラキラとラメが光る『鱗光メダカ』や『鬼ラメメダカ』などは、上級者にも人気です。珍しい品種は1ペアで数万円以上、中には1匹100万円で取引される高級メダカも存在します」(同)

また、最近はネット販売が活発化し、広くメダカの取引が行われている。オークションサイトには、数千件に及ぶメダカの出品があり、数千円~数万円の入札価格がズラリと並ぶ。SNSで情報発信する愛好家も急増し、にぎわいを見せているという。


「ネット販売で注文を受けた場合、丈夫なビニール袋に水と酸素、そしてメダカを入れて梱包すれば、全国どこへでも発送できる。実店舗を持たなくても、SNSなどをうまく使えば、ビジネスの可能性は大きく広がります」(前出・経営コンサルタント)


専門店がブームの後押しをする中、成功すれば年商2000万円~3000万円も可能だという。一方、過熱するブームで、いくつかの懸念が生じている。


過去にはメダカ販売店で、人気品種の『ブラックダイヤ』約50匹が盗まれる事件が発生している。『ブラックダイヤ』は黒地にまぶされたラメが美しく、当時は1匹1万5000円の高値で取引されていた。


ネット上ではメダカの画像を偽造し、高値で売り付けドロンというトラブルも多い。そして、飼育放棄の問題もある。環境省関係者が指摘する。


「改良品種メダカの放流は、生態系に深刻な影響を与える恐れもある。飼育する以上は最後まで責任を持つこと。そうでないとブームは一過性で終わります」


ニッチなイメージが強く、また懸念も多いメダカブームだが、市場拡大の勢いは続いている。