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高齢者や買い物難民の強い味方! 移動スーパーマーケットが躍進中

移動スーパーマーケットは高齢者の味方
Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

徳島県に本社を置く「とくし丸」は移動スーパーマーケットを運営し、体力面や交通事情で買い物に行けない70~90代の買い物難民に、日用品や食料品を販売している。

「現在、全国のスーパー132社と提携して約600台の『とくし丸号』が稼働中。今年は沖縄県が地盤のスーパー『リウボウストア』と業務提携して、10月に47都道府県での事業展開を達成しました。全国でお年寄りの生活に潤いを与えていますよ」(流通アナリスト)

とくし丸は2012年に設立され、その名称には創業地である徳島県と、社会事業や公共の福祉に貢献する〝篤志〟の意味が込められているという。

「生鮮食品や土用の丑の日のうなぎといった季節の食べ物など、とくし丸にはスーパーにあるものをほとんど積んでいます。その一方で、地域の高齢者の〝見守り隊〟としての役目も果たしているのです」(同)

コロナ禍の影響を受けた飲食店経営者の転職も

事業の仕組みはこうだ。とくし丸が各地のスーパーと契約し、移動スーパーのノウハウやブランドなどを提供する。スーパーは車両1台につき契約金50万円、月のロイヤリティー3万円をとくし丸に支払う。

商品を移動スーパー車で届けるのは、個人事業主である販売パートナー。販売パートナーは車両を購入して、スーパーと販売委託契約を結ぶ。とくし丸は顧客開拓や売れ筋商品の情報提供などで、販売パートナーをサポートするという。

「とくし丸の販売価格は、商品を玄関先まで届ける付加価値として、店頭より1品あたり10円上乗せされている。販売パートナーは朝7時頃からスーパーで商品を積み込み、17時頃まで巡回販売してスーパーに戻る。売れ残ったものは返品できるためリスクは少ない。販売パートナーの平均年収は500万円。コロナ禍で立ち行かなくなった飲食店経営者が転職していますよ」(スーパー関連業者)

東京都多摩地区を地盤とする「いなげや」も、17年にとくし丸事業を開始。現在は9台が運行しているが、2年後には15台に増やす方針だという。とくし丸のさらなる成長に期待したい。

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