社会

インスタ映えドリンク「バナナジュース専門店」が活況でタピオカを駆逐~企業経済深層レポート

同書は、日本でのバナナジュース専門店の草分けとされる『銀座バナナジュース』のレシピを紹介したもので、〝腸のスペシャリスト〟としてメディアで活躍している松生クリニックの松生恒夫院長が監修している。バナナの効能を客観的に医学や健康面と照らし合わせて、信ぴょう性をもたらせているのだ。

「同書によれば、バナナには病原体から体を守り、免疫細胞の働きを活性化させる効果があるという。また、バナナには水溶性、不水溶性両方の食物繊維や、腸内にいる善玉菌の働きを促進させるフラクトオリゴ糖が豊富に含まれ、便秘解消にも役立つとお墨付きをもらっている」(同)

バナナの効能はそれだけではない。アレルギー症状の緩和、アンチエイジング、ダイエット効果、美肌効果、スポーツ時のエネルギー源になるなど、まさに健康、美容のためには欠かせない食品なのだ。

新規参入の垣根が低いバナナジュース専門店

バナナジュースのブームを受け、経営アナリストはこう語る。

「市場規模はまだ判然としないが、一応の手掛かりはある。財務省の貿易統計だ。日本のバナナは100%近くが海外依存なので、輸入量を見ると全貌が分かってくる。それによれば、2012年まで100万トンを超えていた輸入量が、13〜17年の間は100万トンを切っていた。しかし、18年には100万トンに回復し、バナナジュースブームの兆しが見えた19年は104万トンと、確実に増加。市場がじわじわ伸びているのは明らかで、今年はさらに増えるのが確実視されている」

しかし、このコロナ禍で外食産業は大ダメージを受けている。そのあたりの影響はないのか。

「バナナジュース専門店は、数坪の隙間スペースがあれば低資金で開店できるため、新規参入の垣根が低い。さらに、複雑な調理技術もいらず、冷蔵庫とミキサーがあれば商品作りは可能だ。また、日本におけるバナナの消費量は、ミカンやリンゴを抜いてナンバーワン。かねてより日本人になじみの深い食物のため、老若男女に受け入れられやすい。そのため、都内の繁華街だけでなく、郊外の住宅地にも出店可能で、テイクアウトにも向いている」(同)

問題はバナナの安価なイメージに比べ、ジュースは400〜600円程度と少し値が張ること、変色するのが早く賞味期限が約20分と短いことなどだが、買う側はそれ以上の価値があると認めているのだろう。

最大の懸念は海外の生産地でコロナの影響が出た場合、輸入量を確実に確保できるかどうかだ。

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