蝶野正洋 (C)週刊実話Web
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蝶野正洋『黒の履歴書』~人間関係が独特なプロレス界

ベテラン漫才コンビのおぼん・こぼんさんが、ずっと仲違いをしていて、バラエティー番組を通じて関係を修復したということが話題になっている。


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人間関係なんてものは、年齢を重ねるほど修復するのが難しくなるから、こうやって仲直りするパターンもあるんだなって思ったね。


プロレス界にも仲がこじれてしまって、もうこの2人が同じフレームに並ぶことはないというパターンはたくさんある。


例えば、長州力さんと前田日明さんは、いろいろな事件もあって、もう交わることはないと言われていた。でも、本人たちは会えば気軽に挨拶したり、一緒にイベントに出ることもあったりして、雪解けムードかと思ったら最近はまたダメになったり……まぁ、両方とも面倒くさいんだよ(笑)。


漫才コンビというのも、友人でありビジネスパートナーでもあるから、一筋縄ではいかない関係性だと思うけど、プロレスラーというのも独特でね。例えば意見が食い違って、お互いに腹の中で思うことはあるけど、そんな感情や諍いも含めてビジネスを組み立てようとするところがある。


ただ、プロレスというのは基本的にどんなに仲が悪くても、アンダーの部分で信頼関係がないと成立しない。だから、プライベートで本当に仲が悪い同士でもいい試合になることもあるんだけど、たぶん前田さんと長州さんは、その最低限の信頼もない。


前田さんは、隙があったらそこを攻撃するのがプロレスだという信条があるし、長州さんも何かあればカマしてやろうと思ってる。お互いに疑心暗鬼になるんだろうね。

すぐ裏切るし、出し抜こうとする…

だから、プロレスラーがフロントに入っても、まともなビジネスができない。すぐ裏切るし、出し抜こうとするから、会社同士で約束をしても、どこかで誰かがフライングしてしまう。もうルール無用の騙し合いだよ。

俺は違うよ(笑)。俺は、プラスの部分があれば、それをみんなに分配しようと考えるけど、他のレスラーの99%は自分だけ上がればいいと思ってる。


だから、この業界でまともなのは俺だけだとずっと思ってんだけど、ようやくちゃんと話せる人がいたと思ったのが、三沢光晴社長だね。新日本とノアという関係性でのビジネスだったけど、冷静に話ができて、裏切らなかったのは三沢さんだけだった。


闘魂三銃士でいったら、武藤敬司さんは裏切るタイプというか、自分のことしか考えてない。ある意味でプロなんだけど、アメリカ的というか、ドライなビジネスマンだよね。


今、武藤さんと長州さんがよく一緒にテレビ出てるけど、あれも長州さんがどっかで転んだら、武藤さんは助けないでサッと次にいくよ。武藤さん自身も「今、長州さんが調子いいから乗っかってるだけだよ」って言ってたしね(笑)。


橋本真也選手は自分勝手なんだけど、意外と義理・人情を大切にする。カッコつける所があるから、実際に出来たかどうかは別として、そういう生き方をしようと思っていた男だったね。


とにかく、プロレスラーは劇的な仲直りをすることもあるだろうけど、またいつ裏切るか分からない。それでも続いていく関係だから、面白いんだけどね。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。