新型コロナウイルスの第5波が収束に向かう一方、今年もインフルエンザの季節が到来したが、東京・江戸川区内の外科クリニック院長は、「肝心のワクチンが不足して、いつ入るか分からない」と嘆く。
「ワクチンを製造する施設には限りがあり、モデルナ製のコロナワクチンは日本でも作っている。インフルエンザワクチンは製造資材が不足しているため、今年10月の出荷見込み量は、全体の6~7割程度になることが分かっています」(医療ライター)
例年、国内で約1000万人がインフルエンザに感染すると言われている。昨年は新型コロナとの同時感染による重症化を恐れて、過去最多となる約6684万人分のワクチンが供給されたが、危惧された同時流行は見られなかった。
ところが、日本感染症学会は、昨シーズンのインフルエンザ罹患者が少数だったため、社会全体の集団免疫が形成されていないとして、「インフルエンザワクチンの積極的な接種を推奨する」と呼びかけている。
ワクチン生産は実際2割程度!?
「感染症学会の推奨もありますが、インフルエンザに対する患者の関心度と対策の意識の高まりで、ワクチン接種希望者が殺到している。厚労省はワクチンの生産は6~7割と言っていますが、実際は2割程度しか届いていない。しかも、耳鼻科と小児科の奪い合いで、さらに手に入らなくなっています」(前出・外科クリニック院長)
千葉県市川市の藤巻耳鼻咽喉科医院の藤巻豊院長は、「耳鼻科、小児科は小児患者が多いからです」という。
「ワクチン接種の取り決めは、自治体によって違うと思いますが、市川市は1回につき3000円の補助金が出る。12歳以下は接種無料ですが、保険によっては補助金が出ている。江戸川区も以前から、小児には補助金が出ていたはずです。ワクチンは前年までの実績に応じて入手可能。だから耳鼻科や小児科に、集中していると思いますよ」
コロナが収束に向かっているにもかかわらず、今度はインフルエンザワクチンの接種難民が続出しかねない。政府がやることは、いつまでたっても後手後手だ。
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