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六部の霊からのメッセージ「比叡山の滝で待っている」~原田龍二の『不思議な世界』

原田龍二
原田龍二(C)週刊実話Web

前回の続きです。YouTubeの企画で山形を訪ね、心霊スポット巡りの行く先々で六部(諸国霊場を巡礼する行脚僧)の霊と出会った我々。その日の行程を終えて、自宅に帰る〝降魔師〟のAさんと別れ、ホテルに戻ったのは深夜2時です。

翌日は〝山の神の神湯〟と称される温泉で、穢れを落とすことにしました。翌朝、ホテルの前でAさんと待ち合わせ。現れたAさんに「面白い旅をありがとうございました」とお礼を告げると、「実は家で寝ようとしたら、足元に六部がいた」と言います。僕にメッセージを伝えてほしいと、彼は言っていたと。その言葉は、「何年かかってもいい、比叡山の滝で待っている」。

そこで思いました、六部の正体は僕の前世なのかもしれない。前世は感じるもので、存在として知るものではありません。ただ僕みたいな人間だからこそ、Aさんという人を通して前世がメッセージを伝えてきたのかも。六部との一連の軌跡は「前世と出会った」と考えると、ほとんどが腑に落ちます。もしかしたら比叡山の滝で会うのは、来世でもいいのかもしれません。今のところ行く予定はないですが、自分の意図に反して比叡山へ行くことになるかもしれないですね。本来なら頓挫するはずだった、この旅のように。もともとの目的地である滝不動が立入禁止になっていた時点で、旅を中止してもおかしくない事態だったのですから。

そろそろ自分の目で霊やお化けを見てみたい…

そんな思いを噛みしめつつ、山の神の神湯へ向かいます。この温泉、実は個人所有です。所有者の方がAさんとお知り合いで、特別に入らせてもらえることになりました。Aさんが山の神様へ「入らせていただきます」とご挨拶したあと、入山した我々。実は山の神様って、女性なのだとか。そのため混浴だとヤキモチを焼いてしまうらしく、ご婦人は一緒に入れないと言われました。スタッフの中に1人女性がいて、この温泉の管理をしている人なのですが、残念ながら僕らとは入れません。

さらにAさんが道中で、「獣の匂いがしたら、山の神がそばにいますよ。あ、今、匂いがしました。あの辺にいますね、神様が」と教えてくれました。僕は一切感じませんでしたが…。たどり着いた山の神の神湯は素晴らしく、我々は湯に浸かって旅の疲れと穢れを落としたのです。

こうして終わった、山形の旅。心霊スポット巡りを配信している身としては、肉眼やカメラで捉えられる〝収穫〟を得て凱旋帰京したかったのですが、残念ながら全くありませんでした。ただ、それ以上に得たものがあったなと、僕は感じています。まさかYouTubeの撮影で泣く羽目になるとは、予想だにしていませんでしたから。前世の存在を感じられるのも素敵なことだと思いますが、「やっぱりそろそろ自分の目で、霊やお化けを見てみたいな…」とこっそり願う僕なのでした(笑)。

原田龍二
1970年生まれ。ドラマやバラエティーで活躍する一方、芸能界きってのミステリー好きとして知られ、近著に『ミステリーチェイサー原田龍二の謎のいきものUMA大図鑑』がある。現在、『バラいろダンディ』(MX)で金曜MCを担当。YouTubeチャンネル『ニンゲンTV』を配信中。

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