10月に入ってタバコ、牛丼やコーヒー豆、加工食品のバター、マーガリンなどの値上げラッシュが続いている。
輸入小麦粉も19%値上げとなり、年末に向けケーキ類への価格上乗せが予想され、早くもクリスマス商戦に影響が出ている。
「日本で消費される小麦粉の約9割は海外から輸入されている。輸入小麦粉はパン、麺、菓子などに使用されます。すでに乳製品やチョコレートは値上がりしているため、間違いなくケーキの価格は高騰するでしょう」(食品アナリスト)
かつて輸入小麦の売渡価格は年間を通じて固定価格だったが、2007年4月から国際相場の変動を緩和するため、年2回、価格を改正している。
「今年10月期は1トン当たり6万1820円で、この夏に大手メーカーが4%から最大10%値上げしたばかりだった。4月期と比べて、政府の売渡価格は19%もアップしたんです」(消費生活ライター)
農林水産省によると、①年初来の米国産、カナダ産小麦に対する中国の旺盛な買付。特に高騰したトウモロコシに代替する飼料用需要などで小麦の国際価格が上昇、②2021年6月以降、米国北部及びカナダ南部の日本向け小麦産地において高温乾燥により作柄が悪化して価格が高騰、③コロナ禍でコンテナ船など船不足が起きて海上運賃が大幅に上昇…といった3つの理由があるという。
一番ダメージが大きいのはケーキ類
「中国の旺盛な買付や、世界的なコンテナ不足による輸送運賃の値上げは、ウッドショックやミートショックと同じ現象です。今回の価格改定で食品の小売価格に与える影響は大きいですよ。農水省の試算では、食パンは1.3%、1斤当たり2円程度増。中華そば0.2%増、1杯当たり1円程度増。小麦粉は5.3%、1キロ当たり14円程度増になります。一番ダメージが大きいのは小麦粉を使うケーキ類です」(農水省関係者)
大手乳製品メーカーの雪印メグミルクは天候不順や世界的な需要の拡大で大豆、菜種、バーム油などの国際価格が高騰したことで、家庭用のバターやマーガリンなど14品目を10月1日から値上げしている。
ケーキや洋菓子などに使うチョコレートも世界のカカオ豆を60%以上、生産している2大生産国のアフリカのコートジボワールとガーナが大幅値上げしたことで、価格が上がっている。
「国内の製粉会社は2、3カ月分の小麦を備蓄しているとされますが、これから1年で一番の書き入れ時を迎えますからね。デパートやスーパーマーケット、洋菓子店のクリスマス商戦は苦戦しますよ」(前出・食品アナリスト)
政府の無策による値上げラッシュで、庶民の生活は悪化するばかりだ。
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