自らの派閥を持たない無派閥の菅首相にとって、再び都構想が否決されたショックは計り知れない。
「維新の先が見えない。衆参26議席の維新を力の源泉にしたい菅首相の思惑は崩れ、一気に不安定さを増している」(同・関係者)
大逆風の2つ目はバイデン大統領誕生が確実になったことだ。元米国特派員が分析する。
「法廷闘争などトランプ氏の最後の悪あがきで、まだ正式決定ではないが、バイデン氏が勝ったことで、菅政権は大打撃だ。というのも、菅政権発足時『私の使命は安倍政権の踏襲』との宣言が首を絞める形になっている。安倍政権時、対米関係では世界の指導者で先陣を切りトランプ氏とトランプタワーで対面したのが安倍前首相。そして、別荘などを訪れては、頻繁にゴルフ会談をし親密な関係を築いてきた。バイデン氏側にすれば、面白いはずがなく、菅首相の安倍踏襲宣言はトランプ踏襲と映る」
その上で、かつて安倍政権とバイデン氏の間に確執があったことを暴露する。
「2013年12月に安倍首相は靖国神社を参拝した。これに激怒したのが、オバマ政権下のバイデン副大統領だ。官房長官は菅氏だから同罪ですよ」(同・特派員)
バイデン氏の“日本パッシング”は避けられない!?
菅義 バイデン氏は世界の政治家の中でも屈指の地球環境派だ。バイデン氏は、トランプ政権で脱退した地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定への復活と、温暖化対策のためにあらゆる政策を取る姿勢を見せている。菅首相が所信表明演説で「2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする」と宣言したのも、バイデン対策という。
「お題目は唱えたが、実質ゼロは簡単ではない。欧米では脱炭素化の石炭火力からの脱却が加速している。日本はG7で唯一、石炭火力の新設計画があり、国際的な批判に晒されている。資源エネルギー庁によれば、日本の石炭火力は約140基、日本の総発電量(2018年度)に占める割合は約30%。バイデン氏がこれを批判するのは間違いない。急に廃止するのは不可能です」(環境省関係者)
バイデン、トランプ両氏に二股を掛けても時すでに遅し。バイデン氏は環境対策でさらなる強硬策を打ち出すと見られている。CO2排出が多い国の輸出品などに対し、重い関税、いわゆる「国境炭素税」を導入する構えだ。
「バイデン氏は副大統領時から中国、韓国に比重を置く『日本パッシング』(日本スルー作戦)を積極的に展開したといわれる。今後、厳しい対日政策を繰り出すでしょう」(経産省関係者)
安倍政権のツケは大きい。
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