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発足7年目――沈黙を続ける神戸山口組の実態

(C)週刊実話Web 

沈黙を続けている神戸山口組。

「井上邦雄組長の動きはおろか、会合を開いたという話すら上がってこない。情報が漏れないよう細心の注意を払っているのかもしれないが、寺岡修若頭(俠友会会長=兵庫淡路)が道仁会の小林哲治会長(福岡)と複数回、会ってもいるから、何かアクションが起きてもおかしくないと思っていた。他組織も分裂抗争の行方を注視している」(他団体関係者)

平成27年8月27日の深夜、兵庫県内で極秘裏に盃儀式が行われた。井上組長を親、兄として複数の直系組長が盃を飲み、神戸山口組が発足した。あの日から6年以上が経過した今、戦局は大きく変わったといえる。

ある他団体幹部は、現在に至るまでの分裂戦の内情を、こうみている。

「分裂の直後に神戸側が出した声明文では、六代目山口組体制に疑問を感じ、それを正すために新組織を結成した、という内容が記されていた。この批判に対して、司忍六代目が『戻りたい者は受け入れるように』と六代目内部に呼び掛ける一方、三代目弘道会(竹内照明会長=愛知)を中心に武力行使も展開してきた。そこから、当初は勢いのあった神戸側の体制が変わり始め、潮目も変わってきたように感じる」

分裂直後に起きた長野県飯田市での射殺事件(平成27年10月6日)は、神戸側による組員引き抜きが発端といわれ、移籍したとみられる当事者が死亡した。事件発生の当初は、一部で「内輪揉めだ」という見方もされたが、のちのヒットマンの裁判では、飯田市を巡って激しい対立が起きていたことが判明。

年が明けると、神戸山口組・正木組本部への発砲を契機に、全国各地で抗争事件が頻発した。乱闘や車両特攻などが起き、緊迫した状況が続いたのだ。

さらに、当時は神戸山口組傘下だった池田組も、積極的に引き抜きを行っており、平成28年5月31日には髙木昇若頭が弘道会系ヒットマンによって射殺された。その1カ月半後には、弘道会が拠点を置く名古屋市で、元山健組系組幹部が別の弘道会系組員らに射殺されるという事件も発生。

立て続けに死者が出たことを受け、神戸側も定例会では周囲の警戒を強めた。不審者が紛れ込んでいないか記者の身分チェックを行い、車両の乗り降りの際には防弾盾を構えた。厳戒態勢を敷いたのは警察当局も同様だったが、事件発生を抑止する目的で、双方の直参を〝微罪逮捕〟するなど躍起になったのだった。

「当時、神戸山口組は『我々は喧嘩をするために出たのではない』として、報復禁止を通達した。『若い衆の将来のため』として六代目山口組を出たのだから、抗争によって逮捕者が続出するのは、本意ではなかったのだろう」(同)

“マフィア化”という戦略

六代目側の攻勢は強まる一方で、今度は五代目山健組の組員2名が射殺された(令和元年10月10日)。髙山清司若頭が現場復帰を果たしていた同年11月27日には、兵庫県尼崎市の路上で、神戸側・古川恵一幹部が二代目竹中組の朝比奈久徳元組員に、自動小銃で射殺されるというショッキングな事件が発生。初めて直系組長の命が奪われたのだ。

その後も神戸側が被害に遭う事件が続き、当事者らの離脱や引退によって勢力に異変が生じた。

「六代目サイドからは『すでに勝負はついた』という声も聞こえるが、現実的に神戸側は存続している。井上組長の闘うという意志が、今も変わらないからではないか。共に六代目側を離脱し、分裂の首謀者といわれる入江禎副組長(二代目宅見組組長=大阪中央)や寺岡若頭も、それを支える存在なのは間違いない。六代目側も、分裂を終わらせる〝落としどころ〟を探っているのかもしれない」(同)

ただ、これまでに六代目山口組は武力行使を展開してきただけに、警察当局は警戒を緩めていない。

「兵庫県内では、神戸市の山健組本部そばで警察官による職務質問中にヒットマンが事件を起こした上、尼崎市でも死者が出ました。両市とも特定抗争指定の警戒区域に指定され、組事務所の使用や組員の集結も規制されていますが、警察官による見回りは依然として続いているようです。特に不測の事態に備えて、関係先での不審者の存在に注意している印象です」(全国紙社会部記者)

実際、射殺された五代目山健組系組員2名の命日墓参の際、県警捜査員らは早朝から同じエリアに立ち入る一般人の動向も注視し、怪しい人物ではないかを確認するなど、ピリピリした雰囲気を漂わせていた。

だが、特定抗争指定以降、新型コロナウイルスの影響もあってか、神戸山口組の定例会頻度は減っており、開催されたとしても極秘裏の場合が多くなった。

「一部では、神戸側はマフィア化し始めたという見方もされている。存在は分かっていても、実態が不透明になりつつあるからだ。それも戦略のうちだとすれば、警察でさえ手こずるだろう」(前出・他団体関係者)

最終段階といわれながらも、混迷の度合いを深める山口組の分裂問題。ヤクザ業界全体が〝決着の時〟に注目している。

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